2024年度定期総会および第34回研究会を2024年6月5日(水) 16:00からオンライン(Zoom)で開催しました。
1.2024年度定期総会
はじめに、本日の総会出席者の確認を行い、出席者および委任状提出の合計70名により本総会の成立条件(会員数の1/2)を満たしていることを確認しました。
続いて、事務局から2023年度の事業報告と決算報告、2024年度の事業計画と収支計画についての報告が行われました。各議案は、出席者および委任状提出者を含む参加者の過半数の賛成により承認されました。
会員は、総会資料を閲覧できます。[会員メニュー - 活動の記録 - 第34回研究会(定期総会)]をご覧ください。
2.第34回研究会
第34回研究会では、「これからのシステム開発文書品質を考える~システム開発文書品質モデルVer.2.0aをふまえて~」のテーマで、システム開発文書の品質向上について、参加者の皆様と意見交換を行いました。
今回の討議は、オンラインホワイトボードアプリMiroを使用して参加者の皆様から意見を出していただく形で進めました。
「システム開発文書やその品質で解決したい問題は何か?」、「システム開発文書の役割は今後どう変わるか?」、「システム開発文書品質モデルにAIを応用するアイデアは?」の3点について討議を行い、参加者の皆様から多くの意見をいただきました。
今回の討議で皆様からいただいた内容を今後のASDoQの活動につなげていきたいと考えております。
研究会の資料はこちらから(資料内のmiro討議の場所のリンクから討議内容が確認できます)
3.オンライン交流会
研究会での議論を基に、生成AIの文書品質モデルへの応用について参加者の皆様と活発な議論を交わしました。様々な視点からの意見や考えが語られ最後まで大変盛り上がりました。
4.今後のASDoQのイベント
以下を予定しております。皆さん、ぜひご参加ください。
・サマーワークショップ 9月6日(金)、7日(土)KKR京都くに荘
・ASDoQ大会2024 11月1日(金)名古屋大学 東山キャンパス内にある野依記念学術交流館
2024年3月22日(金)に第33回研究会をオンラインとリアル会場(ソニーシティー大崎)のハイブリッドで開催しました。
2023年10月27日(金)にASDoQ大会2023を開催しました。
(最優秀賞&審査員特別賞[酒匂賞] 左から受賞者の井上さん、審査員の酒匂氏)
(審査員特別賞[二宮賞] 左から受賞者の藤田さん、審査員の二宮氏、受賞者の内野さん)
(審査員特別賞[永田賞] 左から受賞者の山田さんと中西さん、審査員の永田氏)
次回も、多くのポスター発表のご応募をお待ちしております。
2023年9月1-2日に京都市にて,ASDoQサマーワークショップ2023を開催しました.
2023年度定期総会および第32回研究会を2023年6月6日(火) 16:00からオンライン(Zoom)で開催しました。
1.2023年度定期総会
はじめに、本総会の出席者として、出席者34名、委任状提出54名により本総会の成立条件(会員数の1/2)を満たしていることを確認しました。
続いて、事務局から2022年度の事業報告と決算報告、2023年度の事業計画と収支計画、役員改選について報告しました。各議案は委任状を含む参加者の皆さんにより承認されました。
会員は、総会資料を閲覧できます。[会員メニュー - 活動の記録 - 第32回研究会(定期総会)] をご覧ください。
2.第32回研究会
研究会では、粕渕清孝さん(SCREENアドバンストシステムソリューションズ/ASDoQ運営委員)と山本雅基さん(名古屋大学/ASDoQ幹事)から「ChatGPTを用いた文書品質の向上は可能か」というテーマで講演が行われました。
講演の前半は粕渕さんから、ChatGPTの技術を解説していただきました。発表資料はこちらから。
従来の自然言語処理とは異なるMulti-head Attentionによって構文解析がされていること、OpenAIの独自技術であるPP(Proximal Policy Optimization)を使用して強化学習を行っていることなどをわかりやすく解説していただきました。
今後の見通しとしては、さらなるマルチモーダル化や推論が可能になること、人間を超える意味理解の実現の可能性など、さらなる進化についてお話しいただきました。
後半は山本さんから、システム開発へのChatGPTの活用に関してお話していただきました。発表資料はこちらから。
ChatGPTを「コパイロット」として使い、要求定義工程でブレスト相手やレビュー相手としてChatGPTを活用し要求仕様書を共同で作成していく方法を、Windowsで動作するストップウォッチアプリ開発を例に、ChatGPTとやりとりを踏まえて紹介されました。
その経験を通じて、ChatGPTの活用を前提とした開発プロセスの構築の必要性を提案されました。その上で、ASDoQ開発文書品質の測定、品質準拠のライティングや校正への活用検討、さらに技術者に要求されるスキルの再定義の必要性なども提案されました。
文書品質に取り組むASDoQは、文章を生成する生成系AIと無関係ではいられません。皆さんとアイディアや事例を共有し、生成系AIとの付き合い方に取り組んでいきましょう。
3.オンライン交流会
研究会での議論を踏まえて、生成系AIについて参加者の皆様と議論を交わしました。さまざまな意見や考えが語られ最後まで大変盛り上がりました。ご参加いただきありがとうございました。
4.今後のASDoQイベント
以下を予定しております。詳細が決まり次第ご案内しますので、皆さん、ぜひご参加ください。
・9月1日(金)、2日(土) サマーワークショップ @KKR京都くに荘
・10月27日(金) ASDoQ大会2023 @名古屋大学 野依記念学術交流館
2023年2月14日(火)15:00-17:00に,(Zoom)にて第31回研究会を開催しました.34名が参加しました.
今回の研究会は,「技術者のための日本語文法入門 ─ 文章術本を深読みし、開発文書作成に役立てる」 と題して,編集プロダクション風工舎の川月現大さんに,ご講演いただきました.川月さんは,大手ソフトウェア会社でシステム開発のご経験があり,その後に編集会社を立ち上げられました.元開発者そして現編集者の立場で,ASDoQに参加されています.
ご講演は,文章術本を使いこなすための基礎知識および技術文書作成で役立ちそうな指針についての解説でした.私たちの多くが読んだことがある『理科系の作文技術』など,複数の文書術の書籍を取り上げて,その内容に一歩踏み込みながらお話しくださいました.
私は,日本語の奥行きの深さが改めて分かりました.川月さんがおっしゃるように,日本語母語話者のための「日本語文法書」や,私たち開発者などの実務に役立つ「日本語辞典」は,まだ完成されていません.注意深く考えながら日本語の勉強を続けていきたいと,決意を新たにしました.何時までも勉強は続きます.
川月さんのご厚意により,当日の資料の一部(「は」と「が」の使い方)を,こちらからダウンロードできます.
2022年11月11日(金)にASDoQ大会大会2022を開催しました。
今年のASDoQ大会はオンラインとリアルとのハイプリッドにて開催しました。リアル会場としては、3年ぶりに名古屋大学 野依記念学術交流館に戻ってまいりました。
第1部のチュートリアルでは、中村 哲三氏(エレクトロスイス ジャパン)から「国際共通語としての英文ライティングを考える」のテーマでお話しいただきました。
世界中の人たちとコミュケーションをとるための国際共通語として英語が使われています。英語ネイティブではない国の人たちとコミュニケーションをとるためには、わかりやすく伝わる英語を使う英語力を身につける必要があります。そのような基礎的な英語力をつけるうえでの障壁をご紹介いただきました。具体的には、国際的には通用しない和製英語、一つひとつの単語とは異なる意味になるイディオム表現、概念の違いからくるギャップ、差別表現などを解説していただきました。さらに、人間の社会活動に関連する言語の使用には、トピック志向とタスク志向があります。前者は状態描写として、後者は操作説明として、視点/コンテキストによって最適な表現を選ぶべきであり、両者をまちがえると分かりにくい文になるとのことでした。
(チュートリアル:中村 哲三氏)
第2部の講演会に先立ち、プログラム委員長の栗田 太郎氏からASDoQ大会2022の見どころについて紹介がありました。
(オープニング:栗田 太郎氏)
最初の講演は、武田 浩一氏(名古屋大学)から「説明可能な人工知能と自然言語処理」のテーマでお話しいただきました。
人工知能が社会的に受け入れられるためには、信頼できる人工知能を実現する必要があり、その一つのテーマが「説明可能な人工知能(AI)」とのことです。最近のAIでは、ニューラルネットワークを用いるので、推論過程がブラックボックスになります。そこで、推論過程を人間に分かるように提示する説明可能AIの研究を、米国国防高等研究計画局(DARPA)のプログラムなどで進められてきたとのことです。説明可能AIでは、文生成技術により説明自体を文章で生成する技術も研究開発されています。その技術を使用して、運転シーンのデータから運転のリスクを査定し文章で表現する研究事例が紹介されました。さらに、文生成技術を利用したプログラム開発支援として、プログラム生成やプログラムへのコメント付与の研究開発が行われているとのことでした。
(講演1:武田 浩一氏)
続いての講演では、井佐原 均氏(追手門学院大学)から「自然言語処理の課題と品質評価の可能性」のテーマでお話しいただきました。
自然言語処理システムによって、コンピュータが人間のタスクをサポートし、人間は人間にしかできないことに集中する世界を示していただきました。最近では、ニューラル機械翻訳により、機械翻訳の技術が飛躍的に向上しています。訳の抜けや誤り、低頻度の語句で失敗が多いなどの機械翻訳の問題についても、絶えず見直され性能が向上され続けているとのことです。さらに、自然言語処理の課題として、ブラックボックスの解消のために理由を説明できる人工知能や、学習データの保証があるとのことです。そして、システム開発文書と自然言語処理の関係について触れて頂き、自動ソースコード生成や開発文書の自動評価の可能性を示していただきました。
(講演2:井佐原 均氏)
第2部の最後では、ASDoQの運営から、今期の活動報告と今後の活動予定をお知らせしました。
(クロージング:塩谷 敦子氏)
オンラインでご参加いただいた方は第2部にて終了となりましたが、リアル会場では、第3部の「講演者を囲む対話会」を開催しました。講演者と直接会話できる機会を利用して、参加者の皆さんが熱心に質問されていました。また、チュートリアルと講演の内容から、話題がさらに広がり、有意義な時間となりました。
(対話会での講演者と参加者)
最後に参加者にいただいたアンケート結果を示します。多くの参加者から満足したとのご回答をいただきました。
今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん、ご講演者の方々、またASDoQ大会開催に内外からご協力、ご支援、ご後援くださった方々に感謝いたします。ASDoQは、講演で得られた知見や、参加者の方々との有意義な議論などの本大会の結果を、今後の研究会活動に活かしていきます。
来年の大会は,2023年10月27日(金)、名古屋大学 野依記念学術交流館での開催を予定しております。
次回も是非ご期待ください。
2022年8月8日(月)15:00-18:00に、第30回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました。
2022年度定期総会および第29回研究会を2022年6月7日(火) 16:00よりオンライン(Zoom)で開催しました。
1.2022年度定期総会
はじめに、本日の総会出席者の確認を行い、出席者42名、委任状提出50名により本総会の成立条件(会員数の1/2)を満たしていることを確認しました。 続いて、事務局より2021年度の事業報告と決算報告、2022年度の事業計画と収支報告について報告があり、この議案は委任状を含む参加者の皆さんの賛成多数により承認されました。
次にASDoQ運営より開発文書の改善すべき記述、例文集の作成、文書品質モデルの使いにくい点を修正する活動についての紹介がありました。今後の活動に向けて多くの例文や改善例を集めたいと考えておりますので、みなさまからの投稿をお待ちしております。
総会資料はこちらから
2.第29回研究会
第29回研究会では、石垣達也さん(産総研)から「自然言語処理による文書評価」のテーマでご講演いただきました。
自然言語処理入門では、対話Botを例に言語解析と言語生成について解説していただきました。言語解析では文章をどのように認識し意味を理解していくのか、言語生成ではこれまで主流だったルールベース、テンプレートによる手法から、より柔軟に言語生成が可能な確率ベースの手法にフォーカスが向いていることを解説していただきました。
次に評価の自動化手法では、生成されたテキストの多様な表現は正解が一意に定まらない点や必要な評価基準が異なる点についてどのように解決しているかを解説していただきました。自動評価は言い換えに弱いという問題点があり、現状は人手評価との組み合わせによる評価が必要とのことでした。
システム開発文書の品質評価を自動化することの可能性についてもお話いただきました。ここではASDoQ品質特性について、自然言語処理技術のどの技術が応用できるのか先生の考えを紹介していただきました。課題は多くあると思いますが、開発文書の自動生成、自動評価については今後研究が進み実用されていくことを期待したいですね。
最後に、最新の言語生成研究として、AIでのレーシングゲーム実況の生成について紹介していただきました。 リアルタイムで変化するレースの状況に合わせた実況は、発話の内容だけでなく発話のタイミングも考慮する必要があることから、人間が行う実況にどこまで近づくことができるのか大変興味のある事例でした。
3.オンライン交流会
オンライン交流会には石垣先生にもご参加いただき、参加者の皆様と自然言語処理技術や文書品質について意見交換が行われました。たくさんの方に参加いただき最後まで大変盛り上がりました。
次回のASDoQイベントは、8月8日(月)に第30回研究会をオンラインで開催予定です。詳細が決まり次第ご案内しますので、皆さん、ぜひご参加ください。
また、今年度のASDoQ大会2022は2022年11月11日(金)、名古屋大学 東山キャンパス内にある野依記念学術交流館での開催を予定しております。ご期待ください。
2022年3月9日(水)15:00-18:00に、第28回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました。
今回の研究会では、アンリツ株式会社の南部妙水さんのご講演「ゴールから逆算したプロセスで開発文書全体をMECEにする」と、ASDoQからシステム文書品質モデルを使ったワークショップを行いました。
1.講演~ASDoQ大会2021話題提供から~
「ゴールから逆算したプロセスで開発文書全体をMECEにする」南部 妙水(アンリツ株式会社)
南部さんの講演ではソフトウェアの派生開発を行う中で、文書をMECEな状態に近づけるために実践されている方法について説明していただきました。
開発文書に変更を取り込む際には必要な情報が何かを見つけることが重要で、どのような仕様・設計にするか、どの文書に何を書くか、それをどう書くかということをひとつずつ整理していくという考え方を基に、この必要な情報をどうやって洗い出すかという方法について説明していただきました。
別の作業に紛れ込ませずしっかり時間を取ってそれぞれの作業に集中し、順番に進めていくことが効率と品質を確保する上でも大事だということを教えていただきました。
講演資料はこちらから
2.グループワーク&討議 「文書品質特性の視点から記述を改善してみよう」ASDoQ運営スタッフ
ASDoQで作成したシステム開発品質モデルの活用ガイドとして参考例を集める仕組みづくりを考えています。今回はそのトライアルとして、例文を使用し、どの品質特性、品質副特性に該当するのか、改善例としてどんな文章が考えられるのかを議論しました。最後に各グループの代表者により結果を共有していただきました。
同じ例文をでも異なる視点からの指摘があがるなど、参加者の皆様も興味を持って取り組んでいただけたと思います。
今後の活動に向けて皆様からのご意見、アイデアをお待ちしております。
講演資料はこちらから
次回のASDoQイベントは、6月7日(火)に2022年度総会・第29回研究会をオンラインで開催予定です。詳細が決まり次第ご案内しますので、皆さん、ぜひご参加ください。
また、今年の大会は,2022年11月11日(金)、名古屋大学 野依記念学術交流館での開催を予定しております。ご期待ください。
2021年11月8日にASDoQ大会2021を開催しました。
今回の大会では、『新しい世界と時代の文書品質』をテーマに、システムやソフトウェア開発文書はもとより、異なる分野にも目を向け、今後の開発文書のあり方や品質を高めるヒントを探りました。 今年も昨年に引き続きオンラインでの開催となりましたが、情報交流会に10件の話題提供をいただくなど多くの方に参加いただき、大変盛り上がった大会となりました。
第1部のチュートリアルでは、塩谷 敦子氏(ASDoQ/イオタクラフト)が「書いて仕事を進めよう!―開発文書をヒントに、文書を書くことで仕事の品質を上げるコツを学ぶ―」のタイトルでご講義くださいました。 文書を書くことを仕事につなげる方法として、プロセスにそった文書作成、ライティング技術を活用した仕事の進め方をミニ演習を交えて紹介していただきました。
(チュートリアル:塩谷 敦子氏)
第2部の講演会に先立ち、オープニングセッションでは、プログラム委員長の栗田さんからASDoQ大会2021の見どころについて紹介がありました。
(オープニングセッション:栗田 太郎 氏)
基調講演では、石川 冬樹氏(国立情報学研究所)が「オープンな世界と向き合うシステムにおける開発文書品質」のテーマでお話しくださいました。言葉をそろえて同じ理解を持たないとステークホルダーや開発者間で議論ができないのは、従来のシステム開発と変わらない。機械学習では、あいまいな要求に対応する必要があるため、大量のデータを学習させることによって具体例を作り上げて要求を実現していく必要があるということ。そのための課題やアプローチについて、実際の開発で行っている取り組みを基に解説していただきました。
(基調講演:石川 冬樹 氏)
招待講演では、染谷 美有紀氏(医学書院)が「内容の質を高め、読みやすい本をつくるには――看護書の編集・制作のプロセスから」のテーマでお話しくださいました。
第3部では情報交流会として、話題提供者と参加者との意見交換の場が設けられました。 ASDoQの活動報告に続き、10組の発表者により文書品質に関わる話題を提供していただきました。様々な切り口から開発文書の品質向上に取り組んだ事例はどれも興味深いものでした。皆さんが行っている取り組みのヒントになるものもあったのではないでしょうか。
■「オンデマンド型オンライン教育における用語統一の大切さ」
福島 泰子氏(名古屋大学大学院情報学研究科附属組込みシステム研究センター)
■「誤訳を生み出さないためにできること ~機械翻訳から校正を考える~」
山本 知広氏(ヤマハ株式会社)・宮外 真理子氏(PPBインターナショナル株式会社)
■「アジャイル開発における文書品質について考える」
谷﨑 浩一氏(株式会社ベリサーブ)
■「デジタル化によるソフトウェア要求仕様書の品質向上」
不破 慎之介氏(株式会社デンソークリエイト)
■「開発文書校正支援AIモデルの可能性」
森口 功造氏(株式会社川村インターナショナル)
■「特許明細書の標準化に向けた取組 ~特許文書品質特性モデル~」
谷川 英和氏(産業日本語研究会・IRD国際特許事務所所長)
■「OSSを活用した文書間一貫性の確保」
芦田 直之氏(株式会社デンソー)
■「RedPenを用いたシステム開発文書評価のための機能追加の試み」
藤田 悠氏(長野工業高等専門学校)
■「ゴールから逆算したプロセスで開発文書全体をMECEにする」
南部 妙水氏(アンリツ株式会社)
■「技術文書研修に求められる期待」
下野 宏美氏(株式会社 富士通ラーニングメディア)
最後に、参加者にいただいたアンケート結果を示します。多くの参加者から満足したとのご回答をいただきました。
今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん、ご講演者の方々、またASDoQ大会開催に内外からご協力、ご支援、ご後援くださった方々に感謝いたします。ASDoQは、講演で得られた知見や、情報交流会で紹介された取り組み、また参加者の方々との有意義な議論などの本大会の結果を、今後の研究会活動に活かしていきます。
来年の大会は,2022年11月11日(金)、名古屋大学 野依記念学術交流館での開催を予定しております。
次回も是非ご期待ください。
2021年9月3日に,第27回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました.22名の方に参加していただきました.今回の研究会では,2つのテーマを取り上げました.
活動報告:2021年度定期総会・第26回研究会を開催しました.
2021年5月28日(金)に,2021年度定期総会と第26回研究会をオンライン(Zoom)で開催しました.
事務局長の藤田さんの司会で,進行しました.はじめに,現在の会員数(個人会員96名,法人会員23社)が報告され,委任状と参加申込みの合計が会員数の1/2にあたる81となり,総会成立が確認されました.
議事は,2020年度の事業報告・会計報告・会計監査報告,役員改選,2021年度の事業計画・収支計画でした.事業については事務局長の藤田さんが,会計については会計の塩谷さんが,役員改選については代表幹事の山本さんが報告しました.
2011年7月11日に設立したASDoQが節目となる10年目に,運営委員会から役員交代が提案されました.代表幹事が山本雅基さんから塩谷敦子さんに,運営委員の奈良慶之さんが退任,内野将輝さんが加わる提案でした.それぞれ簡単な挨拶が行われました.
総会では,全ての議案が当初案の通りに承認されました.コロナ禍が続く2021年度ですが,代表幹事の交代と共に気分も一新して,システム開発文書品質に,明るく取り組んでいきましょう.
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司会:藤田悠さん | 新代表幹事:塩谷敦子さん | 旧代表幹事:山本雅基 | 新運営委員:内野将輝さん |
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2021年3月17日に、第25回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました。24名の方に参加していただきました。
今回の研究会では、近年注目を集めている「UX:User eXperience」をテーマに取り上げました。
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■第25回研究会 開催要項
日時:2021年3月17日(水)15:00-18:00
場所:オンライン(Zoom)
対象者:ASDoQ会員,入会を検討している方
参加費:無料
申込締切日:3月17日(水)14:00
参加申込みはこちらから.
■研究会プログラム
14:50 開場
15:00-15:05 オープニング
15:05-16:35 招待講演
「さまざまな場に通じるUXライティングの考え方」
冨永 敦子 氏(公立はこだて未来大学, メタ学習センター)
16:35-16:45 休憩
16:45-17:25 討議
「UXが重視されるシステム開発を,開発文書にこだわって考えてみよう」
ASDoQ運営スタッフ
17:25-17:50 活動紹介
「ASDoQ文書品質モデルによる文書評価のためのRedPen活用の試行」
藤田 悠 氏(長野工業高等専門学校)
17:50-18:00 クロージング
■講演詳細
【概要】
2020年11月、『ビジネスマンのための新教養 UXライティング』を上梓しました。新型コロナウイルス感染対策のため、ほとんどのやりとりがオンラインになってしまったなか、この本の原稿を書いていました。書きながら、 こういう状況だからこそUXライティングの考え方が必要とされるのだとひしひしと感じていました。
UXライティングは「ユーザーの気持ちに寄り添い、ユーザーのニーズを知り、そのニーズを満たす」ことを目的としています。この講演では、以下の3つのトピックについてお話したいと思います。
・UXライティングとテクニカルライティングの違い
・UXライティングの例
・大学における学習支援者の育成―UXライティングの観点から―
興味を持っていただけると幸いです。
【プロフィール】
公立はこだて未来大学教授。博士(人間科学)。
コンピューター会社、フリーランスのテクニカルライター/ライティング講師、早稲田大学ライティングセンター助手、早稲田大学人間科学学術院助教を経て、2014年公立はこだて未来大学に着任。
専門は教育工学、教育心理学。おもな研究テーマは、インストラクショナルデザインをベースにした授業設計とその効果検証。
著書に『統計学がわかる』(技術評論社)、『「伝わる日本語」練習帳』(近代科学社)、『ビジネスマンのための新教養 UXライティング』(翔泳社)など。
http://www.tomi0730.com
システム開発文書品質研究会(ASDoQ)は、「誤読されないメールの書き方10箇条」を発行しました。
さらなる改善のためのご意見等は、随時ASDoQ窓口にて受け付けます。
個人や組織内では、自由にカスタマイズしてお使いください。
システム開発文書を含めた文書改善につながれば幸いです。
そのような活動を、ぜひASDoQ大会や研究会にてご発表ください。
2020年11月6日に,ASDoQ大会2020を開催しました.今年はコロナ禍によりオンラインでの開催となりましたが,約70名の方に参加していただき,講演者とのやりとりも多く,大変盛り上がった大会となりました.
今回の大会のテーマは,「オンライン時代の言葉と文書」としました.現在オンラインでの業務が拡大されつつありますが,意思疎通が取りづらくなる懸念があります.本大会では,3件の講演を通して,言葉や文書についてどのように改善すべきか,ヒントを探りました.
オープニングセッションでは,プログラム委員長の栗田さんから,今回のプログラムへの想いと,申し込み時のアンケート分析結果について語られました.
(オープニングセッション:栗田太郎 氏)
続いて3件の講演が行われました.
1件目の講演では,都築香弥子 氏(俳優・声優・表現講師)が「豊かな伝え方・受け取り方~演劇メソッドを使って」のテーマで,異業種の側面からお話しくださいました.講演中には,ネット越しではありましたが,実際に参加者の方に演劇を体験していただきました.相手のことを理解したり感じ取ることによって,伝え方・受け取り方が全く異なることを,参加者の方に体感していただくことができました.演劇も開発も,お客様に届け,さらに受け取ってもらえて,はじめて作品/製品として完成するという点で,非常に共通点が多いという発見がありました.そして,都築さんから紹介いただいたさまざまな「演劇メソッド」は,今後の業務に大変参考となるものとなりました.
(講演1:都築香弥子 氏)
2件目の講演では,藤崎祐美子 氏(ビジネスエンジニアリング株式会社)が「伝わりやすい文章の書き方・広め方」のテーマでお話しくださいました.品質マネジメント部における自社製品の文書改善の取り組み事例について紹介いただきました.藤崎さんの改善活動は,実際に人財が育ち,仕組みを構築して定着し,手離れすることができたという,非常に珍しい成功事例でした.藤崎さんからは,注意点を多数紹介していただくことができ,文書の改善にとどまらず,業務を成功させるための重要なヒントを得ることができました.
(講演2:藤崎祐美子 氏)
3件目の講演では,森崎修司 氏(名古屋大学 大学院情報学研究科)が「業務文書のレビューに使えるソフトウェアレビューの原理と技法」のテーマでお話しくださいました.普段何気なく実施しているレビューという活動について,特性をわかりやすく整理し,説明いただきました.そして,望ましいレビュー活動について,非常に沢山のTIPSを紹介いただきました.業務ですぐに実践できる気づきを沢山得ることができた講演となりました.
(講演3:森崎修司 氏)
最後のクロージングセッションでは,本大会の実行委員長である山本さんより,ASDoQの活動紹介をさせていただきました.
(クロージングセッション:山本雅基 氏)
最後に,参加者にいただいたアンケート結果を示します.本大会に対して,大変満足していただくことができました.また,リピーターの方に継続的に参加いただけていることがわかりました. 来年の大会は,2021年11月12日(金)の開催を予定しております.次回も是非ご期待ください.
今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん,ご講演者の方々,またASDoQ大会開催に内外からご協力,ご支援,ご後援くださった方々に感謝いたします.ASDoQは,講演で得られた知見などの本大会の結果を,今後の研究会活動に活かしていきます.また,議論や仲間づくりの場として期待にお応えできるような研究会を目指してまいります.
2020年9月18日に、第24回研究会をオンラインにて開催しました。
今回の研究会では、昨年度のASDoQ大会ポスター発表からの事例発表と、身近な情報伝達手段に関するワークショップを行いました。
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2020年6月12日16時から18時に、2020年度総会報告と第23回研究会を開催しました。今年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応によりオンライン(Zoom)にて行いました。
2019年10月25日に,名古屋大学 野依記念学術交流館にてASDoQ大会2019を開催しました.
最近は,機械学習をはじめとするAI(人工知能)技術の急速な発展が続いています.そこで,今回の大会では『これからのシステムと文書技術への要求と品質 』をテーマに,開発文書のあり方やその品質を高めるヒントを探りました.
第1部は,2件のチュートリアルを並行で開催しました.
チュートリアル1では, 町田 欣史 氏(NTTデータ)が「テスト技術者の視点で文書をレビューする」のタイトルでご講義くださいました.ソフトウェアテストの技法や観点を使って設計書を読み解き,設計書の「抜け」や「漏れ」を見つけるためのテクニックをご紹介いただきました.
(チュートリアル1:町田 欣史 氏)
チュートリアル2では,乙武 北斗 氏(福岡大学)が「ソフトウェア技術者のための自然言語処理技術」のタイトルでご講義くださいました.ソフトウェア技術者のための自然言語処理入門として,解析技術,言語リソースおよび文書分類に焦点を当て説明いただきました.形態素解析や係り受け解析のツールは数多くありますが,それぞれの特性を解説いただき知ることができました.また昨今では深層学習により文脈まで理解した解析ができるようになっているとのことで,文書品質の機械的な測定の可能性が示唆されました.
(チュートリアル2:乙武 北斗 氏)
第2部は講演のセッションです.最初に,プログラム委員長の栗田さんから,申し込み時のアンケート分析結果と今回のプログラムへの想いが語られ,続いて3件の講演が行われました.
基調講演では,山本修一郎 氏(名古屋大学)が「「要求」の40年(1979~2019) 過去・現在・未来」のテーマで研究の集大成を概観されました.電電公社の時代からの要求工学の研究史を振り返り,最新のDX時代の要求文書までが語られました.今までは要求を定義してからシステムを作り上げてきましたが,DX時代にレガシーシステムを作り直す際には,要求仕様書が残されていない場合が多くあります.そこで今後は,既存システムから要求を生み出す「逆要求分析」がキーワードになるとのことです.
(基調講演:山本修一郎 氏)
招待講演では,中西 恒夫 氏(福岡大学)が「プロダクトライン開発におけるNLP応用」のテーマでお話しくださいました.プロダクトライン開発パラダイムは,製品間のコア資産を生成し再利用することで開発効率を向上する開発思想です.その技術内容と現状の課題を解説いただきました.その導入にあたっては,自然言語で記述された,膨大かつ複雑な既存の開発文書を読み解いて整理する必要があり,それに要する工数が導入時の障壁になりがちとのことです。この課題を解決するために,自然言語処理技術(NLP: Natural Language Processing)を応用して作業を部分的に自動化する研究についても,ご紹介いただきました.
(招待講演:中西 恒夫 氏)
特別講演では,桑島 洋 氏(株式会社デンソー)と中江 俊博 氏(株式会社デンソー)が 「セーフティクリティカルな機械学習システムの開発における課題と業界動向」のテーマでお話しくださいました.機械学習システムの自動車への導入における安全担保は重要な課題です.にもかかわらず,現状明確な指針はなく,各国で議論がなされているとのことです.機械学習モデルは訓練データを基に作成されます.しかし,その中身がブラックボックスのままでは網羅的に振る舞いを保証できません.そのため,開発プロセスでの説明責任の重要度が増すとのことです.さらに,訓練データの内容や機械学習モデルの表現方法・検証方法が今後求められていくとのことです.
(招待講演:中江 俊博 氏)
(招待講演:桑島 洋 氏)
第3部のポスター発表では,8件の文書品質に関わる取り組みの発表がありました.レビュー,教育,深層学習など様々な切り口から開発文書の品質向上に取り組む事例が紹介され,参加者共に議論しました.講演者やチュートリアル講師も参加されて,参加者との交流も行われていました.
ポスター発表では参加者の投票による最優秀賞と,審査員の投票による審査員特別賞,各審査員による審査員個人賞を表彰しました.
審査員には,今回講演いただいた方々にお願いしました.
●最優秀賞,審査員個人賞(町田欣史氏による):
『「開発文書レビュー支援ツール」による仕様書・設計書起因問題の撲滅(成果報告)』 金子 隆氏(富士通株式会社)
(最優秀賞,審査員個人賞:金子 隆氏)
金子 隆氏には,審査員個人賞の副賞として,町田氏が推奨する以下の書籍が贈られました.
NTTソフトウェアイノベーションセンタ、NTTデータ(著)「ビジネスルールを可視化する 要件定義の図解術」
●審査員特別賞,審査員個人賞(中西恒夫氏による):
『名詞句の分散表現を利用した開発文書品質測定』 荒木 誠氏,藤田 悠氏(長野工業高等専門学校)
(審査員特別賞:荒木 誠氏,藤田 悠氏)
荒木 誠氏と藤田 悠氏には,審査員個人賞の副賞として,中西氏が推奨する以下の書籍が贈られました.
安野光雅(著)「日本の名随筆89 数」
●審査員個人賞(山本修一郎氏による):
『コーディングのための英語基礎力向上の取り組み』 牧志孝俊氏(株式会社情報システムエンジニアリング)
[副賞] (山本氏による推奨図書) 山本修一郎(著)「要求開発の基礎知識 要求プロセスと技法入門」
(審査員個人賞:牧志孝俊氏)
●審査員個人賞(乙武北斗氏による):
『ソフトウェア開発文書作成力養成における導入での気づきを共有するグループワークの試み』 藤田 悠氏(長野工業高等専門学校)
[副賞](乙武氏による推奨図書) グラム・ニュービッグ(著)「自然言語処理の基本と技術」
(審査員個人賞:藤田 悠氏)
●審査員個人賞(桑島洋氏と中江俊博氏による):
『DSQI(Diagnosis for Specification Quality Improvement)~仕様書品質改善のための診断~』伊藤収氏,内野将輝氏,岡田匡史氏,安田正実氏,奈良慶之氏(株式会社ベリサーブ 中部AM事業部)
[副賞] (桑島氏と中江氏による推奨図書) 日本ディープラーニング協会 (監修), 日経クロストレンド (編集)「ディープラーニング活用の教科書」
(審査員個人賞:伊藤収氏,内野将輝氏,岡田匡史氏,安田正実氏)
最後に,参加者にいただいたアンケート結果を示します.
今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん,ご講演者の方々,またASDoQ大会開催に内外からご協力,ご支援,ご後援くださった方々に感謝いたします.ASDoQは,講演で得られた知見や,ポスター発表で紹介された取り組み,また参加者の方々との有意義な議論などの本大会の結果を,今後の研究会活動に活かしていきます.
2019年8月23-24日に京都市にて,ASDoQサマーワークショップ2019を開催しました.
2019年6月28日に、令和初の2019年度総会・第21回研究会を大崎ウエストギャラリー(東京都品川区)にて開催しました。
しかし、ルールベースのため指摘の質に改善の余地があるそうです。具体的には下記です。
2019年2月20日 名古屋ウインクあいちにて、第20回研究会を開催しました。
今回の研究会では、ASDoQ大会2018で審査員特別賞を受賞された発表チームのお一人であるデンソークリエイトの山路厚さんに、より詳しく話して頂きました。「開発文書の品質の可視化」と題して、原理的思考に基づいた正しく伝わるレビューの記録方法の講演とワークをして頂きました。
ワークでは実際に文書のレビューを行いました。 相手に正しく伝わる指摘を作成する難しさを改めて体感できました。
現場のレビュー指摘内容は間接情報が多く、指摘内容を理解するのにかなりの労力を使っています。 デンソークリエイトでは、指摘内容を直接情報で理解できる仕組み(Lightning Review)を導入しているそうです。それにより以下のような効果が出ているそうです。
・差し戻し件数が1/8に減少した
・軽微な指摘も全て記録になった
・カイゼンのための材料(記録)を蓄積できるようになった
そして、レビュー指摘の記録がどのように文書品質に役立つかを皆で議論しました。
次に、ASDoQ運営委員の山崎伸洋さんの司会で、システム開発文書品質モデル(ASDoQ発行)の継続的な改訂のために改善点の討議を行いました。主に以下のようなトピックで議論をしました。
・文書品質モデルがなぜ必要か
・使いにくい、わかりにくい点はないか
・どのように使えるのか
個人ワークの後はグループで討議しました。
発表の様子(グループ1)
・文書として体を成すという視点で文書品質を定義しているのは有意義
・分類が難しいため、ツールで分類を自動化できないか
・人のスキルに依存する
発表の様子(グループ2)
・レビュー時に有効(指摘傾向の分析)
・分類に時間がかかるのがネック
・完全性、規範適合性がイメージしにくい
発表の様子(グループ3)
・教育に活用したい
・使う人に応じた使い方ガイドラインが必要(初級編、中級編等)
発表の様子(グループ4)
・具体的にカウントできるものを持ってくると、基準がわかりやすく測定しやすくなるのでは(SQuaREが適していそう)
・完全性という項目のネーミングを見直してみてはどうか
・フローチャート等で分類ガイドを作る
発表の様子(グループ5)
・使い方ガイドが必要
・項目が多く分類を難しくしているため、項目を減らす
・項目は技術/テクニカルライティングの2つに分ける
まとめますと、以下の必要性が分かってきました。
・各品質特性の更なる明確化
定義と範囲の更なる明確化、及び、特性の分類を可能にする具体例
・使い方のガイドライン
使う場面にあわせて、文書品質モデルの有効性と使い方を示すもの
引き続き、システム開発文書品質モデルの有効な活用のための改善を進めていく予定です。
2018年11月2日に、名古屋大学にてASDoQ大会2018を開催しました。
今年は、野依良治教授のノーベル化学賞受賞を記念して建てられた野依記念学術交流館にて、大きな窓からは緑をふんだんに感じることができる会場での開催となりました。
(名古屋大学 野依記念学術交流館)
今回の大会は「文書技術の展開~記述と思考の技術と品質を考える~ 」をテーマに、記述と思考技術の視点から、開発文書の品質を高めるヒントを探りました。
第1部のチュートリアル1では、 伊藤 洋子 氏が「ソフトウェアの利用品質を変えるUXライティング」のタイトルでご講義くださいました。システム利用のユーザ体験を向上させるUXライティングが登場した背景、その必要性および重要性について例題を交えてわかりやすくご説明いただきました。
(チュートリアル1:伊藤洋子氏)
並行して開催したチュートリアル2では、玉城 理恵子 氏が「言葉+αの効果を持つグラフィックレコーディングを試してみよう」のタイトルでご講義くださいました。話の内容をリアルタイムに図に落とし可視化、共有する手法であるグラフィックレコーディングを、グループワークを通して体験できました。
(チュートリアル2:玉城理恵子氏)
第2部の招待講演1では、髙橋 尚子 氏が「『情報』で変わる文書のかたち-これからの文書をつくる技術と教育-」のテーマでお話しくださいました。女性SE一期生としてご活躍なされた当時の開発現場の貴重な体験談を交えつつ、高校・大学における情報教育のこれからの動向や、情報教育や情報そのものがもたらす、文書をはじめとする表現の変化など、幅広い視点で「情報」についてお話いただきました。
(招待講演1:高橋尚子氏)
招待講演2では、皆川 誠 氏が「モデルとドキュメントの親密な関係 - モデルを活用してソフトウェアの設計品質を上げる -」のテーマでお話しくださいました。車載ソフトウェア向け標準プラットフォーム仕様であるAUTOSARを例にして、モデルとドキュメント(仕様書)との関係についてお話いただきました。また、簡単なゲームを題材としてドメイン・フレームワークの考え方を示し、モデル上での推敲による品質向上の一例を示していただきました。
(招待講演2:皆川誠氏)
第2部の講演会の後半は、ご講演者4名に山本 修一郎 氏を交え、パネルディスカッションを行いました。参加者からの疑問にそれぞれの立場や経験からお答えいただきました。
(左から パネリスト:高橋氏、皆川氏、伊藤氏、玉城氏、山本氏、モデレータ:栗田氏)
引き続いて行ったポスター発表では、9件の文書品質に関わる取り組みの発表がありました。レビュー、教育、マネージメントなど様々な切り口から開発文書の品質向上に取り組む事例が紹介され、参加者共に議論しました。
また、今年の会場には、講演者・チュートリアル講師と個別で懇談できるような場も用意しました。
ポスター発表では参加者の投票による最優秀賞と、審査員の投票による審査員特別賞、審査員個人賞を表彰しました。町田 欣史 氏が最優秀賞と審査員特別賞を受賞されました。審査員は、パネルディスカッションのパネリストの方々にお願いしました。
●最優秀賞、審査員特別賞:『「伝わる技術文書の書き方」の教育事例とその結果』
●●町田 欣史 氏(株式会社NTTデータ)
(最優秀賞:町田欣史 氏)
町田 欣史 氏には副賞として、文書品質に関連する以下の3冊が贈られました。
・TC協会(著)「日本語スタイルガイド (第3版)」
・石黒 圭(著)「よくわかる文章表現の技術〈1〉表現・表記編 (新版) 」
・三浦 順治(著)「英語流の説得力をもつ日本語文章の書き方」
さらに、審査員特別賞には、投票数が同数の山路 厚 氏、竹下 千晶 氏、田口 知明 氏のチームも受賞されました。
●審査員特別賞:『レビュー指摘記録の改善による開発文書の品質向上の取り組み』
●●山路 厚 氏,竹下 千晶 氏,田口 知明 氏(株式会社デンソークリエイト)
(審査員特別賞:山路 厚 氏、田口 知明 氏)
さらに、審査員個人賞の発表もあり、以下の方々に、それぞれ個人賞が贈られました。
個人賞には、審査員が選んだ書籍が副賞として贈られました。
●伊藤賞:『レビュー指摘記録の改善による開発文書の品質向上の取り組み』
●●山路 厚 氏,竹下 千晶 氏,田口 知明 氏(株式会社デンソークリエイト)
●●[副賞] 鈴木孝夫(著)「ことばと文化」
●玉城賞:『「伝わる技術文書の書き方」の教育事例とその結果』
●●町田 欣史 氏(株式会社NTTデータ)
●●[副賞] 清水 淳子(著)「Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書」
●高橋賞:『事例報告:開発文書ライティング教育への取り組み』
●●山本 雅基 氏(名古屋大学情報学研究科)
●●[副賞] 高橋尚子(著)「ゼロからはじめる 情報リテラシー(電子メールからグループウェアまで)」
●皆川賞:『レビュー指摘記録の改善による開発文書の品質向上の取り組み』
●●山路 厚 氏,竹下 千晶 氏,田口 知明 氏(株式会社デンソークリエイト)
●●[副賞] 木下 是雄(著)「理科系の作文技術」
●山本修一郎賞:『「伝わる技術文書の書き方」の教育事例とその結果』
●●町田 欣史 氏(株式会社NTTデータ)
●●[副賞] 吉田 裕子(著)「人一倍時間がかかる人のための すぐ書ける文章術 ムダのない大人の文章が書ける」
最後に、参加者の方にいただいたアンケート結果を示します。
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今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん、ご講演者の方々、またASDoQ大会開催に内外からご協力、ご支援、ご後援くださった方々に感謝いたします。ASDoQは、講演で得られた知見や、ポスター発表で紹介された取り組み、また参加者の方々との有意義な議論などの本大会の結果を、今後の研究会活動に活かしていきます。
今回の研究会では、システム開発文書品質の「完全性」を満たす方法を、次の流れで討議しました。
2018年7月20-21日に京都市にて,ASDoQサマーワークショップ2018を開催しました。
2018年5月25日に,2018年度総会・第18回研究会を名古屋大学にて開催しました.
はじめに,2018年度総会として,2017年度の報告,2018年度の計画について事務局から説明があり,参加者の皆さんから承認をいただきました.
次に,第18回研究会を行いました.計算機処理による分析の事例として,粕渕清孝さんが「自然言語処理によるシステム開発文書品質改善の試み」について,ご発表くださいました.レビューの効率化のために,レビューで用いられた語句を分析して,使われている語句を次のレビューに生かす取り組みについて,紹介してくださいました.
引き続き,ASDoQ大会2017にて受賞したポスター発表から,小林 直子さんが「文書品質モデルを活用した品質可視化の試み-レビュー情報をプロジェクトの振り返り活動へ活かす-」についてご発表くださいました.ドキュメントの欠陥情報を次の開発に活かすために,ASDoQの文書品質モデルでドキュメントの欠陥情報を分析し,その分析の有効性を評価した取り組みを紹介してくださいました.
最後に,ワークショップとして,栗田太郎さんが「読みの論理のワークショップ~「国語」から開発文書の品質を考える~」について,参加者による演習や,ペアでのディスカッションを含めて行いました.文書を読むときの工夫や振る舞い,傾聴のテクニック,ワークショップの要素などを紹介してから,演習を行いました.演習では,文書を読むときに各自がどのような工夫をしているかを振り返ってから,評論文を実際に読んで自分自身の行動を観察して,それをペアの相手と情報交換しました.文章を分析的に読む方法などを考えました.
今年度も研究会,ワークショップ,ASDoQ大会を計画しています.皆さんからのご意見やご要望を取り入れながら進めていきたいを思いますので,どうぞよろしくお願いします.
2018年3月22日に,大阪電気通信大学 寝屋川駅前キャンパスにて,ASDoQ第17回研究会を開催しました.今回の研究会では,ASDoQ大会2017で優秀ポスターに選ばれた2件のポスターに関する発表と言語処理技術に関連する研究のワークショップを行いました.
ASDoQ大会2017のポスター発表に関する発表に先立ち,ASDoQ大会2017の実施報告を運営委員の塩谷が発表しました.参加者の皆さんからもご意見をいただき,印象に残った点や,各講演のポイントなどを情報交換しました.
次に,ASDoQ大会2017のポスター発表にて最優秀賞を受賞した,大阪電気通信大学教育開発推進センターの齊尾 恭子さんに,以下の発表に関する詳しい講演をしていただきました.
齊尾 恭子(大阪電気通信大学),竹内 和広(大阪電気通信大学),森 幸治(大阪電気通信大学),『「言語技術トレーニング」を活用した技術者養成に向けた大学初年次キャリア教育の実践』
さらに,審査員個人賞(三森賞)を受賞した大阪電気通信大学大学院の間嶋義喜さんに,以下の発表についての講演していただきました.
間嶋義喜(大阪電気通信大学大学院),大賀賢志(大阪電気通信大学大学院),竹内和広(大阪電気通信大学),同一機能をもつプログラム構造の類似性視覚化の検討
次に,「ソフトウェア開発文書分析にむけた言語解析ツール活用の実践」として,参加者の皆さんが実際にオープンソースを使用して言語解析を体験するワークショップを行いました.使用したプログラムは次の通りです.
・形態素解析エンジン MeCab
・係り受け解析器 CaboCha
・統計分析ソフト R(+グラフ生成プラグイン igraph)
はじめに,長野高専の藤田が「ソフトウェア開発文書の評価における汎用言語解析ツールの可能性」として,自然言語処理の基礎的な要素ツールを実際にインストールして実行して体験してみる発表を行いました.
次に,大阪電気通信大学の竹内 和広さんが,「プログラムの説明概念整理による辞書構築とその活用」として,情報分野に特化した辞書の作り方を解説しました.そして,参加者と一緒に手を動かしながら,実際に作った情報分野の辞書を用いて,複数の専門用語を入力してそれらの関係をグラフ化して可視化する演習を行いました.このようなグラフ化は、文書品質や専門概念理解の計量評価の基準となることが期待されます.
開発文書を取り巻く,技術者教育や言語処理技術について,具体的な事例や実践を交えて体験することができました.