トピックス

  
投稿日時 2023-02-19 17:05:40 (333 ヒット)

  2023年2月14日(火)15:00-17:00にZoom)にて第31回研究会を開催しました.34名が参加しました.

 今回の研究会は,「技術者のための日本語文法入門 ─ 文章術本を深読みし、開発文書作成に役立てる」 と題して,編集プロダクション風工舎の川月現大さんに,ご講演いただきました.川月さんは,大手ソフトウェア会社でシステム開発のご経験があり,その後に編集会社を立ち上げられました.元開発者そして現編集者の立場で,ASDoQに参加されています.

 ご講演は,文章術本を使いこなすための基礎知識および技術文書作成で役立ちそうな指針についての解説でした.私たちの多くが読んだことがある『理科系の作文技術』など,複数の文書術の書籍を取り上げて,その内容に一歩踏み込みながらお話しくださいました.

 

 私は,日本語の奥行きの深さが改めて分かりました.川月さんがおっしゃるように,日本語母語話者のための「日本語文法書」や,私たち開発者などの実務に役立つ「日本語辞典」は,まだ完成されていません.注意深く考えながら日本語の勉強を続けていきたいと,決意を新たにしました.何時までも勉強は続きます. 

川月さんのご厚意により,当日の資料の一部(「は」と「が」の使い方)を,こちらからダウンロードできます.


投稿日時 2022-12-05 08:36:28 (395 ヒット)

2022年11月11日(金)にASDoQ大会大会2022を開催しました。
今年のASDoQ大会はオンラインとリアルとのハイプリッドにて開催しました。リアル会場としては、3年ぶりに名古屋大学 野依記念学術交流館に戻ってまいりました。


第1部のチュートリアルでは、中村 哲三氏(エレクトロスイス ジャパン)から「国際共通語としての英文ライティングを考える」のテーマでお話しいただきました。
世界中の人たちとコミュケーションをとるための国際共通語として英語が使われています。英語ネイティブではない国の人たちとコミュニケーションをとるためには、わかりやすく伝わる英語を使う英語力を身につける必要があります。そのような基礎的な英語力をつけるうえでの障壁をご紹介いただきました。具体的には、国際的には通用しない和製英語、一つひとつの単語とは異なる意味になるイディオム表現、概念の違いからくるギャップ、差別表現などを解説していただきました。さらに、人間の社会活動に関連する言語の使用には、トピック志向とタスク志向があります。前者は状態描写として、後者は操作説明として、視点/コンテキストによって最適な表現を選ぶべきであり、両者をまちがえると分かりにくい文になるとのことでした。
(チュートリアル:中村 哲三氏)

 

第2部の講演会に先立ち、プログラム委員長の栗田 太郎氏からASDoQ大会2022の見どころについて紹介がありました。
(オープニング:栗田 太郎氏)

 

最初の講演は、武田 浩一氏(名古屋大学)から「説明可能な人工知能と自然言語処理」のテーマでお話しいただきました。
人工知能が社会的に受け入れられるためには、信頼できる人工知能を実現する必要があり、その一つのテーマが「説明可能な人工知能(AI)」とのことです。最近のAIでは、ニューラルネットワークを用いるので、推論過程がブラックボックスになります。そこで、推論過程を人間に分かるように提示する説明可能AIの研究を、米国国防高等研究計画局(DARPA)のプログラムなどで進められてきたとのことです。説明可能AIでは、文生成技術により説明自体を文章で生成する技術も研究開発されています。その技術を使用して、運転シーンのデータから運転のリスクを査定し文章で表現する研究事例が紹介されました。さらに、文生成技術を利用したプログラム開発支援として、プログラム生成やプログラムへのコメント付与の研究開発が行われているとのことでした。
(講演1:武田 浩一氏)

 

続いての講演では、井佐原 均氏(追手門学院大学)から「自然言語処理の課題と品質評価の可能性」のテーマでお話しいただきました。
自然言語処理システムによって、コンピュータが人間のタスクをサポートし、人間は人間にしかできないことに集中する世界を示していただきました。最近では、ニューラル機械翻訳により、機械翻訳の技術が飛躍的に向上しています。訳の抜けや誤り、低頻度の語句で失敗が多いなどの機械翻訳の問題についても、絶えず見直され性能が向上され続けているとのことです。さらに、自然言語処理の課題として、ブラックボックスの解消のために理由を説明できる人工知能や、学習データの保証があるとのことです。そして、システム開発文書と自然言語処理の関係について触れて頂き、自動ソースコード生成や開発文書の自動評価の可能性を示していただきました。
(講演2:井佐原 均氏)

 

第2部の最後では、ASDoQの運営から、今期の活動報告と今後の活動予定をお知らせしました。 
(クロージング:塩谷 敦子氏)

 

オンラインでご参加いただいた方は第2部にて終了となりましたが、リアル会場では、第3部の「講演者を囲む対話会」を開催しました。講演者と直接会話できる機会を利用して、参加者の皆さんが熱心に質問されていました。また、チュートリアルと講演の内容から、話題がさらに広がり、有意義な時間となりました。
  (対話会での講演者と参加者)

 

最後に参加者にいただいたアンケート結果を示します。多くの参加者から満足したとのご回答をいただきました。
 

今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん、ご講演者の方々、またASDoQ大会開催に内外からご協力、ご支援、ご後援くださった方々に感謝いたします。ASDoQは、講演で得られた知見や、参加者の方々との有意義な議論などの本大会の結果を、今後の研究会活動に活かしていきます。

来年の大会は,2023年10月27日(金)、名古屋大学 野依記念学術交流館での開催を予定しております。
次回も是非ご期待ください。


投稿日時 2022-08-09 14:04:13 (521 ヒット)

 

2022年8月8日(月)15:00-18:00に、第30回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました。

コロナ禍前は毎年、サマーワークショップという合宿を開催していた時期です。
今回の研究会は、参加者10名という少人数でしたが、サマーワークショップのような雰囲気でワークを実施することができました。終了時間を超過し、非常に良い議論で盛り上がることができました。
 

1. [ワーク] 品質特性を具体化しよう
 
ASDoQでは現在、「システム開発文書品質モデル」を活用しやすくするため、ガイドブックなど解説文書の作成活動に注力しています。今回のワークでは、今まであまり深堀してこなかった品質特性「完全性」「論理性」の「測定項目」に対して、以下の4つの観点で具体化を検討しました。
  ①適合するためには、どこに何をorどう書くか?
  ②適合する記述例
  ③検証する方法
  ④その他、具体化する要素やヒント
    違反する記述例や、どう書いてはいけないか、品質特性や副特性や他の測定項目との関連性など
 
最初にASDoQ幹事の山本さんから文書品質モデルの5分解説、ASDoQ代表幹事の塩谷さんからワークの狙いと進め方の説明がされました。塩谷さんの作成した例に倣い、各自で具体化を検討しました。その後、3グループに分かれて、約1時間のグループ検討を実施しました。
 
各グループのまとめ役から、成果を発表していただきました。その際の主な気づきを以下に紹介します。
 
〇完全性-合目的、完全性-正確(山本)
  ・合目的の例がわかりやすい。皆で検討すれば、さまざまなパターンの例を作成できそう。
  ・正確とはどういう状態かが不明確。
  ・文書品質に直接関係しない測定項目が含まれている。
 
〇完全性-妥当、論理性-無矛盾(栗田)
  ・妥当の定義が、V&VのValidationの定義と異なる。
  ・妥当と合目的の違いが不明確。
  ・無矛盾と正確の切り分けが不明確。
  ・トップダウンアプローチで無矛盾に対応可能か不明。例えば、トロッコ問題のように要求自体に矛盾を抱えているものに対して、どう対処したらよいか不明。
  ・全ての情報を文書化できるわけではないし、すべきではない。この場合、文書化されていない情報との矛盾について、どうやって検出すべきか不明。
 
〇論理性-一貫、論理性-構造(塩谷)
  ・複数の測定項目に共通する具体的な記述法あり。
  ・論理性・構造は、完全性・合目的にも似ている評価項目あり。
  ・記述間および文書間の整合性は、多対多の関係で確認が必要。
  ・一貫していることと矛盾が無いことの違い。項目間の繋がり(一貫性)が無くても、矛盾が無いかは判断できる。
 
全体的に品質特性や品質副特性の定義が不明確であり、分かりづらさの課題が明らかになりました。また、文書品質モデルの改善案を多数挙げていただくことができました。今後の文書品質モデルの改善の参考とさせていただきます。
 

2. [討議] 文書品質モデル活用のコツを語ろう
 
最初に、進行担当の山本さんから本討議の狙いを説明していただきました。文書品質モデルをきっかけに、多くの方にとって、ライティングが上手くなり、開発文書の指導回数が減るといった改善につながると嬉しい。具体的にどういう活用方法が望ましいかを知りたい、とのことでした。
これを受け、参加者から具体的な活用事例として、以下の2件を紹介いただきました。
 
  (a) 仕様書作成やレビュー時の観点リストの強化に使用
  (b) 文書研修の前後で、文書作成能力の成長分析に使用
 
品質特性や品質副特性の分類に関連して、(a)のケースはあまり依存せず活用可能だが、(b)のケースは分類の仕方が重要となる、といった違いが見られました。
業務改善に向け文書品質モデルを上手く活用していただくため、多くの皆様からの活用事例の共有をお待ちしております。
 

3.情報交換会
研究会での議論を踏まえて、文書品質モデルの改善に向けた議論を継続し、最後まで大変盛り上がりました。会員の皆様のご意見をしっかり取り入れ、活用可能な文書品質モデルに改善していければと思います。引き続き、皆様のご協力をお願いいたします。
 

次回のASDoQイベントはいよいよ、11月11日(金)のASDoQ大会2022となります。名古屋大学 東山キャンパス内にある野依記念学術交流館とオンラインでのハイブリッド開催を予定しております。皆様のご参加をお待ちしております。
 


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