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投稿日時 2018-11-04 16:16:08 (198 ヒット)

2018年11月2日に、名古屋大学にてASDoQ大会2018を開催しました。
今年は、野依良治教授のノーベル化学賞受賞を記念して建てられた野依記念学術交流館にて、大きな窓からは緑をふんだんに感じることができる会場での開催となりました。

(名古屋大学 野依記念学術交流館)


今回の大会は「文書技術の展開~記述と思考の技術と品質を考える~ 」をテーマに、記述と思考技術の視点から、開発文書の品質を高めるヒントを探りました。

第1部のチュートリアル1では、 伊藤 洋子 氏が「ソフトウェアの利用品質を変えるUXライティング」のタイトルでご講義くださいました。システム利用のユーザ体験を向上させるUXライティングが登場した背景、その必要性および重要性について例題を交えてわかりやすくご説明いただきました。

(チュートリアル1:伊藤洋子氏)

 

並行して開催したチュートリアル2では、玉城 理恵子 氏が「言葉+αの効果を持つグラフィックレコーディングを試してみよう」のタイトルでご講義くださいました。話の内容をリアルタイムに図に落とし可視化、共有する手法であるグラフィックレコーディングを、グループワークを通して体験できました。

(チュートリアル2:玉城理恵子氏)

 

第2部の招待講演1では、髙橋 尚子 氏が「『情報』で変わる文書のかたち-これからの文書をつくる技術と教育-」のテーマでお話しくださいました。女性SE一期生としてご活躍なされた当時の開発現場の貴重な体験談を交えつつ、高校・大学における情報教育のこれからの動向や、情報教育や情報そのものがもたらす、文書をはじめとする表現の変化など、幅広い視点で「情報」についてお話いただきました。

(招待講演1:高橋尚子氏)

 

招待講演2では、皆川 誠 氏が「モデルとドキュメントの親密な関係 - モデルを活用してソフトウェアの設計品質を上げる -」のテーマでお話しくださいました。車載ソフトウェア向け標準プラットフォーム仕様であるAUTOSARを例にして、モデルとドキュメント(仕様書)との関係についてお話いただきました。また、簡単なゲームを題材としてドメイン・フレームワークの考え方を示し、モデル上での推敲による品質向上の一例を示していただきました。

(招待講演2:皆川誠氏)

 

第2部の講演会の後半は、ご講演者4名に山本 修一郎 氏を交え、パネルディスカッションを行いました。参加者からの疑問にそれぞれの立場や経験からお答えいただきました。


(左から パネリスト:高橋氏、皆川氏、伊藤氏、玉城氏、山本氏、モデレータ:栗田氏)

 

引き続いて行ったポスター発表では、9件の文書品質に関わる取り組みの発表がありました。レビュー、教育、マネージメントなど様々な切り口から開発文書の品質向上に取り組む事例が紹介され、参加者共に議論しました。
また、今年の会場には、講演者・チュートリアル講師と個別で懇談できるような場も用意しました。

 

ポスター発表では参加者の投票による最優秀賞と、審査員の投票による審査員特別賞、審査員個人賞を表彰しました。町田 欣史 氏が最優秀賞と審査員特別賞を受賞されました。審査員は、パネルディスカッションのパネリストの方々にお願いしました。

●最優秀賞、審査員特別賞:『「伝わる技術文書の書き方」の教育事例とその結果』
町田 欣史 氏(株式会社NTTデータ)

(最優秀賞:町田欣史 氏)

 

町田 欣史 氏には副賞として、文書品質に関連する以下の3冊が贈られました。
・TC協会(著)「日本語スタイルガイド (第3版)」
・石黒 圭(著)「よくわかる文章表現の技術〈1〉表現・表記編 (新版) 」
・三浦 順治(著)「英語流の説得力をもつ日本語文章の書き方」

 

さらに、審査員特別賞には、投票数が同数の山路 厚 氏、竹下 千晶 氏、田口 知明 氏のチームも受賞されました。

●審査員特別賞:『レビュー指摘記録の改善による開発文書の品質向上の取り組み』
山路 厚 氏,竹下 千晶 氏,田口 知明 氏(株式会社デンソークリエイト)

(審査員特別賞:山路 厚 氏、田口 知明 氏)

 

さらに、審査員個人賞の発表もあり、以下の方々に、それぞれ個人賞が贈られました。
個人賞には、審査員が選んだ書籍が副賞として贈られました。

●伊藤賞:『レビュー指摘記録の改善による開発文書の品質向上の取り組み』
山路 厚 氏,竹下 千晶 氏,田口 知明 氏(株式会社デンソークリエイト)
[副賞] 鈴木孝夫(著)「ことばと文化」

●玉城賞:『「伝わる技術文書の書き方」の教育事例とその結果』
町田 欣史 氏(株式会社NTTデータ)
[副賞] 清水 淳子(著)「Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書」

●高橋賞:『事例報告:開発文書ライティング教育への取り組み』
山本 雅基 氏(名古屋大学情報学研究科)                
[副賞] 高橋尚子(著)「ゼロからはじめる 情報リテラシー(電子メールからグループウェアまで)」 

●皆川賞:『レビュー指摘記録の改善による開発文書の品質向上の取り組み』
山路 厚 氏,竹下 千晶 氏,田口 知明 氏(株式会社デンソークリエイト)
[副賞] 木下 是雄(著)「理科系の作文技術」

●山本修一郎賞:『「伝わる技術文書の書き方」の教育事例とその結果』
町田 欣史 氏(株式会社NTTデータ)
[副賞] 吉田 裕子(著)「人一倍時間がかかる人のための すぐ書ける文章術 ムダのない大人の文章が書ける」
 

最後に、参加者の方にいただいたアンケート結果を示します。

今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん、ご講演者の方々、またASDoQ大会開催に内外からご協力、ご支援、ご後援くださった方々に感謝いたします。ASDoQは、講演で得られた知見や、ポスター発表で紹介された取り組み、また参加者の方々との有意義な議論などの本大会の結果を、今後の研究会活動に活かしていきます。


投稿日時 2018-09-10 10:57:43 (199 ヒット)

今回の研究会では、システム開発文書品質の「完全性」を満たす方法を、次の流れで討議しました。

  1. サマーワークショップの報告と意見交換
  2. システム開発文書の品質特性「完全性」を満たす文書化技術の列挙
  3. 文書化技術を使う具体的な方法の検討
  4. グループ討議の結果の共有と意見交換
 
まず、サマーワークショップの報告と意見交換を実施しました。
次の写真は、ASDoQ運営委員からサマーワークショップの報告をしている様子です。
 
サマーワークショップの報告を通じて、参加者から様々な意見が出ました。
そして、完全性を満たす開発文書を書くために、「開発スキル」「ソフトウェア工学の知識」「文書スキル」の3つの軸を立ててみました(ホワイトボードの図)。
 
 
その上で、次のような意見がありました。
 
  • 「完全性」を高めるためには、ソフトウェア工学の適用が必要ではないか。
  • ソフトウェア工学は、知識として知っているだけではなく、使えなければならない。
  • 例えば、状態遷移を知識として知っているだけではなく、対象を分析して何を状態としてくくり出すかというモデリングのスキルが必要となる。
  • 開発の過程では、それらのスキルを発揮して、設計書などの開発文書として表現する。
  • ASDoQの文書品質モデルでは、「規範適合性」は基本的な品質特性であり、「完全性」はソフトウェア工学のスキルを発揮した結果の品質特性ではないか。
  • ASDoQの文書品質モデルは、性質が異なる品質特性で構成されているようだ。
 
まだ意見が出された段階で、まとめきれていません。
 
その後、完全性を満たす文書化の技術の列挙をワークにて行いました。
ワークでは、事前に運営側で用意した要求仕様のサンプルを検討の材料にしました。
以下はワークを行っている様子です(今回は3チームです)。
 
■チーム1
 
■チーム2
 
■チーム3
 
列挙した内容を各チームで発表していただきました。
 
■チーム1は、開発技術と文書技術をつなぐものを列挙しました。
 
■チーム2は、開発を意識した文書技術を列挙し分類して、その中から「レビュー」を取り上げました。
 
 ■チーム3では、サンプル仕様(三角形の判定方法)をもとに、完全性を満たすための方法を列挙しました。
 
発表後、列挙した技術の中から1つテーマを選び、その技術を使う具体的な方法を各チームで討議しました。
各チーム、様々な観点で完全性を満たすための技術を列挙し討議しました。
 
■チーム1では、要求仕様書のガイドラインを定義するための具体的な方法を検討しました。
 
■チーム2では、レビューで「記述漏れ」と「記述誤り」を見つけるための具体的な方法を考えました。
 
■チーム3では、開発文書の目次に着目し、目次に記載すべき内容、各章に記載する粒度や内容を検討しました。
 
これらのアウトプットをベースに、さらに、開発文書の完全性の議論を進めていきたいと考えます。文書品質モデルのブラッシュアップにもつながりそうです。


投稿日時 2018-07-31 21:47:05 (192 ヒット)

2018年7月20-21日に京都市にて,ASDoQサマーワークショップ2018を開催しました。

今回のワークショップでは、システム開発文書品質モデルにおける「完全性」について、とくに要求仕様書を想定して、その完全性を高める方法を議論しました。
まずは事前に会員の皆さんから集めた完全性に関するアンケート結果(工夫していること・困っていること)を参加者間で読み込み、キーワードを抽出し分類しました。
以下はキーワードを分類している様子です。
 
完全性について検討してみると、完全性とは直結しない問題が数多く出現します。
論理性、理解容易性の問題も関わってくるため、ここでASDoQが定義する完全性の復習を行いました。
以下の写真は、システム開発文書品質モデルの定義を確認している様子です。
 
 
ASDoQが定義している完全性は「開発に必要十分な情報が記載されていること」であり、その副特性を次のように定義しています。
 
  • 合目的(読み手と目的を明示している、目的に合致した内容を記述している)
  • 正確(記述内容が正しい)
  • 妥当(記述内容が妥当である)
 
この定義を再確認するために、完全性を満たすための方法をリストアップしました。
 
  •  ステークホルダーを理解する
    →ステークホルダーとは後工程の人であり、読み手によって書く内容が決まる
  • モデル化(状態遷移図表などを使って抽象化)
    →文章では表現できない内容を表現する
  • フィードバック
    →ペーパープロトタイピングによる素早いフィードバック
    これにより隠れた要求を引き出す
 
2日目は、システム開発文書の完全性を高めるための具体的な手法についてのブレストをしました。
3つのグループに分かれ、システム開発文書品質モデルの完全性の副特性の観点から、具体的な手法を抽出しました。参加者が実際の場面で使用しているツールや手法、経験からのノウハウなどを列挙して、グループそれぞれでまとめました。
以下の写真は、各グループでブレストをしている様子です。
 
 
 
開発文書の完全性は、これまでソフトウェア工学においても議論されてきたソフトウェア自体の完全性に深く関わっていることを、あらためて参加者同士で認識しました。
そして、開発文書の完全性をソフトウェアやシステム自体の完全性とどう切り分けるか、はたして切り分けができるのか、開発文書の完全性をどうとらえ定義すべきか、さらに議論を深めていきたいと考えます。
 
9月6日に開催する研究会では、今回の討議結果を基に、さらに議論を進める予定です。


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