202402のエントリ

  山本 修一郎

この連載コラム「山修の開発文書品質入門」では,開発文書に携わる皆さんに役立ちそうな開発文書の品質につながる知識を分かりやすく解説します.

バック・ナンバ

 

「仕事量を見誤ったか」

生産能力を越えた仕事を受注した結果、品質検査工程で上司から手抜きを強要された社員による外部通報が発生して社会問題化した,ある自動車企業の経営者の言葉だ.この会社のグループ企業では,同じことを繰り返している.

ところで,企業の生産能力を越えた過大な注文を受ければ,所要量の製品やサービスを生産できないか,生産できたとしても製品やサービスの品質が低下するのは明らかである.この経営者は生産能力という最も重要な組織能力の正確な値を認識していなかったことになる.正しい生産能力を知らなければ,注文数が生産能力を越えたかどうか分からない.逆に,生産能力の上限が分かっていれば,過剰な注文数を例外として検知することにより,それ以上の受注を制限できる.

同じことが情報システム障害の原因にもなることがある.たとえば,サービスを受付サーバと処理サーバによる分散システムとして構成することがある.処理サーバの処理能力には上限がある.処理能力を越えたサービス依頼を受付サーバで受理した結果,処理サーバが過負荷となってシステム全体が停止することになる.

DXがめざす姿の一つにデータ駆動経営がある.企業の生産データをリアルタイムに収集することで,生産能力に応じて適切な受注判断ができる.分散型情報システムの例でも,後続サーバの処理能力を越える可能性を先行サーバ側で例外として検知できれば,システム全体の性能や信頼性などの非機能要求の低下を抑止できる.

このように,システムの構成要素間の依存関係に基づく機能例外を考慮することによって,システム全体の非機能要求を達成できる.

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