山修の開発文書品質入門(8) ―― 図による文書理解

山修の開発文書品質入門(8) ―― 図による文書理解

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基礎知識
 2022-4-7 16:10

 山本 修一郎

この連載コラム「山修の開発文書品質入門」では,開発文書に携わる皆さんに役立ちそうな開発文書の品質につながる知識を分かりやすく解説します.

バック・ナンバ

 

開発文書品質の一つに「理解性」がある.開発文書を理解することは,開発文書に含まれる用語の関係を理解することだと考えられる.そこで,用語の関係を図で表現できることに気づく.このような図にSystemigram(システミグラム)がある[1][2]

Boardmanは,自然言語による文章表現と対応しやすい図として,Systemigramを考案した.Systemigramでは,名詞(句)と名詞(句)間の関係を次のような記述として定義する.

  • 名詞(句):ノード(点)
  • 名詞(句) 間の関係を示す動詞(句):ノード間の関係(線)

つまり,「名詞を表す点」と「動詞を表す線」の関係を使って,文章を図で理解できる

 

例えば、下記の例文をSystemigramで表現してみよう.経済産業省が企業のDXに関する自主的取組を促す経営者に求められる対応をデジタルガバナンス・コードとして提示している[3].この「デジタルガバナンス・コード」のビジョン・ビジネスモデルの柱となる考え方を説明している次の文を用いる.

<例文>
企業は、ビジネスとITシステムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。
 
 この文に対応するSystemigramを下図に示す.ここで,「企業」と「ステークホルダー」をアクタ(主体)とした.「ビジネス」と「ITシステム」を振舞,「企業への影響」と「一体的」を動機として.「ビジネスモデル」や「経営ビジョン」「価値創造ストーリー」を構造としている.
 
 
 
 図:ビジョン・ビジネスモデルのSystemigram
 
 文章と図のどちらが理解しやすいかについては,意見が分かれることもある.しかし,同じ内容を,文章と図という異なる形式で表現することにより,より深く理解できる面もある.
 
 本稿では,文章を構成する用語関係を図で理解する方法として,Systemigramを紹介した.開発文書の品質を確認する方法としてSystemigramは役立つと考えられる.
  
参考文献
[1]山本修一郎, システムグラムとドメインクラス図, https://www.bcm.co.jp/site/youkyu/youkyu123.html
[2]山本修一郎, システムグラムと安全分析,https://www.bcm.co.jp/site/youkyu/youkyu127.html
[3]経済産業省, デジタルガバナンス・コード, https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html
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