トピックス

  
投稿日時 2020-11-10 20:23:20 (1391 ヒット)

2020年11月6日に,ASDoQ大会2020を開催しました.今年はコロナ禍によりオンラインでの開催となりましたが,約70名の方に参加していただき,講演者とのやりとりも多く,大変盛り上がった大会となりました.

今回の大会のテーマは,「オンライン時代の言葉と文書」としました.現在オンラインでの業務が拡大されつつありますが,意思疎通が取りづらくなる懸念があります.本大会では,3件の講演を通して,言葉や文書についてどのように改善すべきか,ヒントを探りました.

オープニングセッションでは,プログラム委員長の栗田さんから,今回のプログラムへの想いと,申し込み時のアンケート分析結果について語られました.

(オープニングセッション:栗田太郎 氏)

続いて3件の講演が行われました.

1件目の講演では,都築香弥子 氏(俳優・声優・表現講師)が「豊かな伝え方・受け取り方~演劇メソッドを使って」のテーマで,異業種の側面からお話しくださいました.講演中には,ネット越しではありましたが,実際に参加者の方に演劇を体験していただきました.相手のことを理解したり感じ取ることによって,伝え方・受け取り方が全く異なることを,参加者の方に体感していただくことができました.演劇も開発も,お客様に届け,さらに受け取ってもらえて,はじめて作品/製品として完成するという点で,非常に共通点が多いという発見がありました.そして,都築さんから紹介いただいたさまざまな「演劇メソッド」は,今後の業務に大変参考となるものとなりました.
 
(講演1:都築香弥子 氏)

2件目の講演では,藤崎祐美子 氏(ビジネスエンジニアリング株式会社)が「伝わりやすい文章の書き方・広め方」のテーマでお話しくださいました.品質マネジメント部における自社製品の文書改善の取り組み事例について紹介いただきました.藤崎さんの改善活動は,実際に人財が育ち,仕組みを構築して定着し,手離れすることができたという,非常に珍しい成功事例でした.藤崎さんからは,注意点を多数紹介していただくことができ,文書の改善にとどまらず,業務を成功させるための重要なヒントを得ることができました.

(講演2:藤崎祐美子 氏)

3件目の講演では,森崎修司 氏(名古屋大学 大学院情報学研究科)が「業務文書のレビューに使えるソフトウェアレビューの原理と技法」のテーマでお話しくださいました.普段何気なく実施しているレビューという活動について,特性をわかりやすく整理し,説明いただきました.そして,望ましいレビュー活動について,非常に沢山のTIPSを紹介いただきました.業務ですぐに実践できる気づきを沢山得ることができた講演となりました.

(講演3:森崎修司 氏)

最後のクロージングセッションでは,本大会の実行委員長である山本さんより,ASDoQの活動紹介をさせていただきました.

(クロージングセッション:山本雅基 氏)

最後に,参加者にいただいたアンケート結果を示します.本大会に対して,大変満足していただくことができました.また,リピーターの方に継続的に参加いただけていることがわかりました. 来年の大会は,2021年11月12日(金)の開催を予定しております.次回も是非ご期待ください.

 

今回のASDoQ大会にご参加くださった皆さん,ご講演者の方々,またASDoQ大会開催に内外からご協力,ご支援,ご後援くださった方々に感謝いたします.ASDoQは,講演で得られた知見などの本大会の結果を,今後の研究会活動に活かしていきます.また,議論や仲間づくりの場として期待にお応えできるような研究会を目指してまいります.


投稿日時 2020-09-29 15:57:28 (1837 ヒット)

 2020年9月18日に、第24回研究会をオンラインにて開催しました。

 今回の研究会では、昨年度のASDoQ大会ポスター発表からの事例発表と、身近な情報伝達手段に関するワークショップを行いました。

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  まず、ASDoQ大会2019のポスター発表にて最優秀賞を受賞された富士通株式会社の金子隆さんに、活動の概要とその後の取り組みをお話しいただきました。
  重要プロジェクトの流出バグの72%が開発文書(仕様書・設計書)に起因しており、とくに設計問題を分析したところ、全体の67%が表現に係わっていたとのこと。そのような表現の問題を、ASDoQの文書品質モデルを使って、設計に必要な情報の不足や文書間の不整合などの問題として分類されました。さらに分析を進め、流出バグの防止には、正しい日本語の追求だけでは不十分であることを検証されました。そして、バグに繋がる表現を特定して抽出し修正することを目的として、自社開発された「開発文書レビュー支援ツール」が紹介されました。
 
■オンライン講演中の金子さん
 
  ■講演資料から
    
 
  ツールは、まず開発文書を文節や単語に分解してDBを作成します。次に、独自作成のクエリを用いて、不適切表現や説明不足など5種類に分類されたバグにつながる表現をDBから抽出します。講演では、不適切な表現事例などを、ご紹介いただきました。
  実際に、レビュー支援ツールを開発プロセスに組み入れて運用されているそうです。その結果、ツール適用による問題検出は、人手のみによる開発側レビューの6.6倍に向上し、製品出荷後の記述起因の不具合は0件になったとのことです。
 今後は、形式仕様の考えを導入して、抽出条件の精度を向上させる計画です。さらには、抽出条件の自動更新や、設計書の自動修正に取り組まれるとのことです。
 
 講演後の質疑では、複数の参加者から、非常に興味深い活動との印象が示されました。活動の更なる発展を、再びASDoQの大会や研究会の場でご紹介いただけることを期待したいと思います。
 
 ■ ASDoQ大会2019の受賞時の様子
 
 
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 研究会の後半では、会員有志が作成した「読み誤られないメールの書き方10箇条」をきっかけとしたワークショップを行いました。ワークショップでは、次の事項をトピックとし、Zoomのアウトブレイクルームにて4つのグループに分かれて意見交換しました。
 
<話題1> 「読み誤られないメールの書き方10箇条」のレビュー
<話題2> その他の表現手段の例も考えてみよう
メール以外のメッセージやチャットなども含めた、他の情報伝達手段での記述の注意点
<話題3> メール10箇条などの決め事や注意事項を、日々の仕事にどうつなげていくかを考えよう
 
 グループ討議の後に、それぞれのグループが討議内容を発表しました。
<話題1>では、Googleドライブ上で、事前にASDoQ会員が記入した「レビュー記入シート」やホワイトボードでの意見の他、グループでもそれぞれ改善点を出しました。主には、次のような意見がありました。
  • メールによっては場面や用途が異なるので、それぞれに応じて使い分けが必要になる(10箇条がすべて当てはまるとは限らない)。
  • 第10項は、書き方というより心構えのようなものだが、重要である。
    (第10項:送信前に読み返し ― 読み誤られないことを確認してから送信を)
  • 「読み誤られないメールの書き方10箇条」の位置づけ(ルールかガイドラインかなど)を明確にするとよい。
 
また、<話題2>に触れたグループからは、次のような意見がありました。
  • チャットやweb会議システムでのコミュニケーションでは、メール程には文章の書き方を気にしない。そのために誤解が生じやすい。web会議システムでは、ホワイトボードや画面共有が手軽に使えるので、活用して、コミュニケーションを補うとよい。
  • 記録として議論を残したい場合は、チャットは避けてメールにするなど、使い分けが必要。
 
<話題3>に関しては、いずれのグループも時間切れのために討議できなかったようでした。しかし、「読み誤られないメールの書き方10箇条」の作成者のひとりから、次のような意見がありました。 
「読み誤られないメールの書き方10箇条」を無意識にできるようになることが、開発文書や他の業務文書にも、影響を与えられるのではないかと考えている。組織でこの10箇条を習慣化したことが、開発文書や他の文書にもこんな影響が出てきた、という結果が得られるなら、ぜひASDoQで発表していただきたい。
 
 今回のワークショップでは、身近な情報伝達手段のひとつであるメールに着目してみました。情報伝達手段は他にも種々あります。コロナ禍によってこれまでとは異なる状況やさまざまな制約下で、「書く」ための手段だけでなく「話す」も含めた伝達手段を、状況に応じて選び、仕事を進めていかなければなりません。そして、これまで以上に情報の受け手を想像することが必要になっているように感じました。 
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 さて、次回のASDoQイベントは、ASDoQ大会2020です。
変化しつつある、仕事でのコミュニケーションのスタイルについて、もう少し興味を広げてみませんか。
各分野の専門家が語る、言葉と文書について、オンラインという視点も交えて、いっしょに考えてみましょう。
みなさまのご参加をお待ちしています。
 
日時:2020 年 11 月 6 日(金)14:00 - 17:45 (オンライン開催)
テーマ:オンライン時代の言葉と文書

 


投稿日時 2020-06-19 13:50:31 (10980 ヒット)

 2020年6月12日16時から18時に、2020年度総会報告と第23回研究会を開催しました。今年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応によりオンライン(Zoom)にて行いました。

 
最初に、総会報告を行いました。
2019年度の事業報告と決算報告、2020年度の事業計画と収支計画については、事前にWebでご投票を頂きました。その結果、総会の成立、2019年度報告、2020年度計画が承認されたことを報告しました。
 
2020年度の研究会活動は、ASDoQ大会を含めて全てオンラインで開催する予定です。初めての試みですので、ご協力くださいますようお願いします。
 
総会報告に続いて、第23回研究会を行いました。
今回は、「リーディングスキルから考える文書品質の向上策」をテーマに実施しました。
 
ASDoQはシステム開発文書品質を研究する会です。書く能力(ライティングスキル)と読む能力(リーディングスキル)では、主にライティングスキルに関心を持ってきました。しかし、新井紀子先生(国立情報学研究所 教授)が書かれた2冊の著書(「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」「AIに負けない子どもを育てる」いずれも東洋経済新報社 )では、リーディングスキルの低下が取り上げられていました。
 
そもそも、文書品質は読み手が決めると、ASDoQでは考えてきました。そこで、今回は、リーディングスキルについて、Zoomの投票機能やブレイクアウトルーム機能、チャット機能を使い、オンラインでの意見交換を行いました。
 
参加者の多くがテレワークをされており、そこで感じたことを共有しました。テレワークにより、情報共有が口頭やメールではなくチャットに移行している方がいらっしゃいました。短い単語のやりとりをしがちであるチャットは、素早く意見交換できるメリットがあります。しかし、理解せずに単語だけを追ういわゆるAI読みに陥りがちであることなどが指摘されました。以下に、交換された意見を列挙します。
 
■リーディングスキルが低いと感じたきっかけ
 ・チャット普及により気づかないうちにAI読みをしている
 ・長い文書を読むのが苦痛である
 ・図や表が無いと理解しづらい
 ・主語が無い文書を読みにくいと思う
 ・目的語を正しく理解できないと気づく
 ・二重否定を多用されると理解が難しい
 
新井先生らの一般社団法人「教育のための科学研究所」は、RST(リーディングスキルテスト)を開発して、読む能力の測定に取り組まれています。今回の研究会では、それに倣い、RSTを自作したり、その問題をレビューしたり、自作した問題を解いたりして、リーディングスキルに対する理解を深める試みをしました。良問を作ることは中々に難しく、レビューは大いに盛り上がりました。
 
■RSTの作問/レビュー/問題を解くワークでの意見
 ・読解力の気づきになり、社内教育として役に立ちそう
 ・テスト対策をされてしまい、意図した結果を得られない可能性があるので工夫が必要
 ・読み手が読み間違えない文章を記述するための力になりそう(図や表を活用させる等)
 
総会と研究会後の交流会も、今回初の試みとしてオンラインにて開催しました。各自お酒とおつまみを持参し、画面に向かって文書品質の未来について語り合いました。
 
テレワークの普及は、新しい文書品質の在り方を模索する日々の始まりを示唆しているのかもしれません。本年度もどうぞよろしくお願い致します。


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