11月9日に第2回研究会を開催しました.会員29名(ウェブ参加2名を含む)が参加しました.概要は次のとおりです.
日時:2011年11月9日(水)13:00-18:00
場所:名古屋大学 東山キャンパス 情報基盤センター 会議室
共催:名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター
長野工業高等専門学校 地域共同テクノセンター 寄附研究部門 制御システム開発研究部門(ミマキエンジニアリング)
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研究会のアピールを目的として、ロゴマークを公募したところ、
6名の方から8件の応募がありました。
応募して下さった皆様、ありがとうございます。
8候補に対してASDoQ会員が投票したところ、3候補に得票が集まりました。
そこで、3候補に対して決選投票を行いました。
その決選投票の結果、山本雅基様が作成したロゴマークが選ばれました。
今後、このロゴマークを活用していきます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
SEA名古屋, ソフトウェア・メインテナンス研究会(SERC)ジョイントフォーラムにて,ASDoQの藤田事務局長が,自身のシステム開発文書に関する研究内容の講演とASDoQの紹介を行いました.
SEA名古屋, ソフトウェア・メインテナンス研究会(SERC)ジョイントフォーラム概要
http://www.smsg.or.jp/forum110826.htm
テーマ:「これからのソフトウェア開発」
開催日時:2011年8月26日(金) 13:30 - 16:50
開催場所:ウィルあいち 2F セミナールーム5 (名古屋市)
講演資料:「システム開発文書の課題と展望 ―文書診断法を活用した 開発文書の品質向上の取り組みを通して―」(pdf)
「システム開発文書の課題と展望
-文書診断法を活用した開発文書の品質向上の取り組みを通して-」
という題目で,藤田が講演をしました.
藤田自身が行っている実開発文書を対象にした文書診断法とその結果を活用した技術者教育の話,
さらに,組込みシステムを取り巻く現状からみた開発文書の必要性を踏まえて,本研究会の紹介を行いました.
フォーラムへの参加者は11名と多くはありませんでしたが,
ディスカッションでは引きも切らずに質問があがりました.
藤田自身の研究と,ASDoQの進め方などを考えるきっかけとして
有意義な発表の機会でした.
以下に,私の発表にて挙げられた主な討議事項と,
それに対して答えた内容を紹介します(報告のための補足を含む).
■藤田の研究に関する質問
(Q1) 対象としている文書はどのような種類の文書か?
(A1) どの開発工程の文書であるかは限定していない.
現状では,要求定義書や設計書に当たる文書を診断する機会が多い.
(Q2) IEEE830やISO9126などの既存の特性ではなく,新しく特性を考える理由は何か?
(A2) ISO9126はソフトウェアの内部品質,外部品質などを測る特性として提示されている.
この特性は,ソフトウェアの視点からみた特性であると考えている.
それを開発文書の品質としてそのまま適用することが適切かどうかは疑問である.
IEEE830は,ソフトウェア要求仕様書が持つべき特性などを示しており,
参照すべき規格であることを認識している.
しかし,ここで述べられている特性を満たす仕様書にするために,
テンプレートと,テンプレートのそれぞれに書くべきことは提案されているが,
どのように書けばよいかについては,述べられていない.
したがって,これらの規格があることは踏まえておきたい.
そのうえで,文書の視点からみた特性を設けることで,
文書における改善すべき点などが把握しやすくなるのではないかと考えている.
その特性に,肉付けるもしくは,ひもづけるなどの形で,
それぞれのドメインの特徴やソフトウェアの品質特性などと関連付けたい.
(Q3) どれだけ鍛錬することで文書診断ができるようになるのか?
(A3) 現在文書診断を行っている2名についても,経験に差がある.
その差を埋めるために必要な年数などはその人の能力にもよるだろうから
何年経験を積めばよいかについては明確にはわからない.
しかし,その差を埋めるために,文書診断者のスキルを向上させる施策をとることで,
ある範囲の問題を検出する診断ができるようになると考えている.
どの程度診断ができるかを明らかにするためにも,文書の品質を定義することで,
ある一定の品質を診断できる診断者であると
言及できるようになるのではないかと考えている.
(Q4) 診断者ごとの診断結果の違いに対する対策などはあるか?
(A4) 現在,診断者のバラつきを低減させるための方法として,
診断の粒度をそろえる試みを行っている.
問題であると判断した文言に感覚的な語彙を用いずに,
何をどのように認識したかを明示させるようにして,
診断の方法を細かく分析している.
■研究会の活動に関する質問
(Q5) 研究の対象とする文書のドメインはどのように設定するか?絞って行うのか?
(A5) 文書を書く時に,何をどのように書くかと考えた時,
何を書くかについては,ドメインごとによる違いが比較的多く出てくるかもしれない.
他方,どのように書くかについては,ドメインに関わりなく,
共通する部分が多いと考えている.
研究会の参加者それぞれが持つドメインの視点から考えることで,
ドメインに共通する部分が明らかになるのではないかと考えている.
その共通する部分を具体的に検討する時に,
ある特定のドメインを取り上げてすすめることはあるかもしれない.
その結果を参考にして様々なドメインに展開できるのではないかと考えている.
他の2件の発表を行った石川雅彦さん(SRA)は,
当研究会の第1回準備会議にご参加頂いております.
その発表も興味深い内容でした.
特に「SERC-B報告:研究概要と保守開発のための情報の残し方に関する困難さについて」
においては,『100,000年後の安全』
http://www.uplink.co.jp/100000/
という映画を事例にあげて問題提起されていました.
通常考える時間と懸け離れた,長い時間の事例ではありますが,
時間を超えて情報を伝える方法や,
根本として解決すべき問題のとらえ方を考えさせられました.
(藤田)
SEA/SERCジョイントフォーラム 「これからのソフトウェア開発」 参加報告(pdf) (山本佳)