トピックス

  
投稿日時 2011-11-16 05:13:51 (4045 ヒット)

電子情報通信学会 知能ソフトウェア工学研究会(KBSE)にて,ASDoQ運営委員の山本修一郎が,「開発文書品質の研究課題についての考察」を発表しました.
KBSE開催プログラム

発表概要

講演名:「開発文書品質の研究課題についての考察」

日時:2011年11月11日(金) 9:40 - 10:20
場所:信州大学工学部 地域共同研究センター
発表先:電子情報通信学会 知能ソフトウェア工学研究会(KBSE)
発表者:山本修一郎(ASDoQ運営委員)
共同発表者:栗田太郎(ASDoQ幹事)・山本佳和(ASDoQ運営委員)

システム開発を成功させるためには,開発文書の品質が重要です.これまでに,プログラムのソースコードについては品質メトリクスなど多くの既存研究があります.しかし,開発文書の品質については明確な定義や評価基準,ならびに,その活用,改善方法がまだ確立されていません.

このため,開発文書品質の研究課題を整理するとともに,ASDoQ研究会のロードマップ部会で進めている,開発文書品質研究のロードマップ策定に向けた取り組みを紹介しました.

参考文献

[1] 山本修一郎,栗田太郎,山本佳和,開発文書品質の研究課題についての考察,電子情報通信学会,信学技報, vol. 111, no. 282, KBSE2011-45, pp. 55-60, 2011年11月.

主な質疑応答

(Q1) 開発文書には,自然言語,図式言語,形式言語があると整理されているが,図式などのモデルと開発文書の具体的な扱いについてはどのように考えていますか?
(A1) 自然言語と図式言語との相互関係の整理が追跡性の点でも課題であると認識しています.従って,この課題解決の必要性と解決時期などをロードマップ上に明示したいと思います.

(Q2)ソフトウェア要求仕様書について公開されている事例がほとんどないのが現状です.ASDoQ研究会 ではソフトウェア要求仕様書の事例の公開を考えていますか?
(A2)人材育成部会で開発文書のサンプル作成を考えているので,この部会に参加して いただければ,サンプルを入手できると思います.作成されたサンプルが公開されるかどうかは, 人材育成部会で判断されると思います.

(Q3)システム開発文書化技術については1980年代に多くの取組みがあったにもかかわらず,現代ではそれらの知識のいくつかが失われているため,それらを復興する必要があると 指摘されましたが,今回整理された知識が再び,失われる可能性はないのでしょうか?
(A3)もちろん,その可能性は否定できません.しかし,当時と現在の大きな違いの一つに,文書がデジタル化され,整理した技術をインターネット上でオープンに公開できることがあります. これまでは,知識が書籍として書庫に納められていたので,忙しい現場の技術者にとっては, その知識へ簡単に接近する方法がなかったと思います.今では,整理した知識をデジタル化してインターネット上で公開できるので,容易に閲覧できます.また,一度公開しておけば,そのサイトがなくならない限り, いつでもだれでも閲覧できます.

(山本修)

 


投稿日時 2011-11-15 03:55:57 (4376 ヒット)

11月9日に第2回研究会を開催しました.会員29名(ウェブ参加2名を含む)が参加しました.概要は次のとおりです.

日時:2011年11月9日(水)13:00-18:00

場所:名古屋大学 東山キャンパス 情報基盤センター 会議室

共催:名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター

長野工業高等専門学校 地域共同テクノセンター 寄附研究部門 制御システム開発研究部門(ミマキエンジニアリング)

--------------------------------------------------------------------------

1.発表
  「開発文書品質の研究と課題-長野高専寄附研究部門での取組み-」
  背景説明:山本雅基(名古屋大学),塩谷敦子(イオタクラフト)
  発表:藤田悠(長野工業高等専門学校)
  
ASDoQの代表幹事である山本雅基と幹事の塩谷敦子が,開発文書との関わり・ASDoQ設立に至る経緯と,開発文書の課題を,それぞれ発表しました.次に,ASDoQ幹事・事務局長の藤田悠が,文書診断に関する研究と教育について発表しました.
 
 
2.作業部会の取組紹介
現在,活動している3部会から,状況報告がありました.そして,それぞれの活動内容に関する質疑と討議を行いました.
 
ロードマップ部会
 開発文書品質の研究課題の整理と研究のロードマップ策定に向けた取り組みの状況を報告しました.
 
 
 
用語定義部会
 部会で取り組む内容や活動の進め方を報告しました.部会では,(1)ASDoQで用いる用語の定義,(2)文書技術の整理,(3)定義すべき用語の選定指針と定義指針の作成,の3項目に取り組む予定です.状況報告の後,参加者全員で定義すべき用語の洗い出しを進める中で,作業方法に関する討議を行いました.
 
人材育成部会
 部会活動の目的と目標を発表しました.主な活動として,具体的な製品を想定した開発文書を作成し,開発文書品質を模索しながら,文書を修正し改訂していく活動を行う予定です.開発文書の題材に関して討議しました.
また,ある会員から,所属する企業での状況とそこで進められている開発文書品質に関する取り組みの紹介がありました.そして,課題解決の方法が,ASDoQが進める課題に適合しており,それを部会活動の中で進めていける旨の確認がなされました.


投稿日時 2011-09-20 09:39:27 (5551 ヒット)

SEA名古屋, ソフトウェア・メインテナンス研究会(SERC)ジョイントフォーラムにて,ASDoQの藤田事務局長が,自身のシステム開発文書に関する研究内容の講演とASDoQの紹介を行いました.

SEA名古屋, ソフトウェア・メインテナンス研究会(SERC)ジョイントフォーラム概要
http://www.smsg.or.jp/forum110826.htm

テーマ:「これからのソフトウェア開発」
開催日時:2011年8月26日(金) 13:30 - 16:50
開催場所:ウィルあいち 2F セミナールーム5 (名古屋市)
 

当日の資料

講演資料:「システム開発文書の課題と展望  ―文書診断法を活用した 開発文書の品質向上の取り組みを通して―」(pdf)


実施報告

「システム開発文書の課題と展望
-文書診断法を活用した開発文書の品質向上の取り組みを通して-」

という題目で,藤田が講演をしました.
藤田自身が行っている実開発文書を対象にした文書診断法とその結果を活用した技術者教育の話,
さらに,組込みシステムを取り巻く現状からみた開発文書の必要性を踏まえて,本研究会の紹介を行いました.

フォーラムへの参加者は11名と多くはありませんでしたが,
ディスカッションでは引きも切らずに質問があがりました.
藤田自身の研究と,ASDoQの進め方などを考えるきっかけとして
有意義な発表の機会でした.

以下に,私の発表にて挙げられた主な討議事項と,
それに対して答えた内容を紹介します(報告のための補足を含む).

■藤田の研究に関する質問
(Q1) 対象としている文書はどのような種類の文書か?
(A1)  どの開発工程の文書であるかは限定していない.
   現状では,要求定義書や設計書に当たる文書を診断する機会が多い.

(Q2) IEEE830やISO9126などの既存の特性ではなく,新しく特性を考える理由は何か?
(A2)  ISO9126はソフトウェアの内部品質,外部品質などを測る特性として提示されている.
   この特性は,ソフトウェアの視点からみた特性であると考えている.
   それを開発文書の品質としてそのまま適用することが適切かどうかは疑問である. 
   IEEE830は,ソフトウェア要求仕様書が持つべき特性などを示しており,
   参照すべき規格であることを認識している.
   しかし,ここで述べられている特性を満たす仕様書にするために,
   テンプレートと,テンプレートのそれぞれに書くべきことは提案されているが,
   どのように書けばよいかについては,述べられていない.
    したがって,これらの規格があることは踏まえておきたい.
   そのうえで,文書の視点からみた特性を設けることで,
   文書における改善すべき点などが把握しやすくなるのではないかと考えている.
   その特性に,肉付けるもしくは,ひもづけるなどの形で,
   それぞれのドメインの特徴やソフトウェアの品質特性などと関連付けたい.

(Q3) どれだけ鍛錬することで文書診断ができるようになるのか?
(A3)  現在文書診断を行っている2名についても,経験に差がある.
   その差を埋めるために必要な年数などはその人の能力にもよるだろうから
   何年経験を積めばよいかについては明確にはわからない.
   しかし,その差を埋めるために,文書診断者のスキルを向上させる施策をとることで,
   ある範囲の問題を検出する診断ができるようになると考えている.
   どの程度診断ができるかを明らかにするためにも,文書の品質を定義することで,
   ある一定の品質を診断できる診断者であると
   言及できるようになるのではないかと考えている.

(Q4) 診断者ごとの診断結果の違いに対する対策などはあるか?
(A4) 現在,診断者のバラつきを低減させるための方法として,
   診断の粒度をそろえる試みを行っている.
   問題であると判断した文言に感覚的な語彙を用いずに,
   何をどのように認識したかを明示させるようにして,
   診断の方法を細かく分析している.

■研究会の活動に関する質問
(Q5) 研究の対象とする文書のドメインはどのように設定するか?絞って行うのか?
(A5) 文書を書く時に,何をどのように書くかと考えた時,
   何を書くかについては,ドメインごとによる違いが比較的多く出てくるかもしれない.
   他方,どのように書くかについては,ドメインに関わりなく,
   共通する部分が多いと考えている.
   研究会の参加者それぞれが持つドメインの視点から考えることで,
   ドメインに共通する部分が明らかになるのではないかと考えている.
   その共通する部分を具体的に検討する時に,
   ある特定のドメインを取り上げてすすめることはあるかもしれない.
   その結果を参考にして様々なドメインに展開できるのではないかと考えている.

 

他の2件の発表を行った石川雅彦さん(SRA)は,
当研究会の第1回準備会議にご参加頂いております.
その発表も興味深い内容でした.
特に「SERC-B報告:研究概要と保守開発のための情報の残し方に関する困難さについて」
においては,『100,000年後の安全』
http://www.uplink.co.jp/100000/
という映画を事例にあげて問題提起されていました.
通常考える時間と懸け離れた,長い時間の事例ではありますが,
時間を超えて情報を伝える方法や,
根本として解決すべき問題のとらえ方を考えさせられました.

 

 

(藤田)


参加報告

SEA/SERCジョイントフォーラム 「これからのソフトウェア開発」 参加報告(pdf) (山本佳)

 


« 1 ... 22 23 24 (25) 26 27 »

メニュー

サイト内検索

ログイン

ユーザ名:

パスワード:

次回からIDの入力を省略



パスワード紛失