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投稿日時 2011-11-30 04:42:19 (3907 ヒット)

ソフトウェアテストシンポジウムJaSST’11 Tokaiにて,代表幹事の山本(雅)と運営委員の森川が、ポスターセッションとSIG(Special Interest Groups)に参加しました.

JaSST' 11 Tokai

特定非営利活動法人 ソフトウェアテスト技術振興協会 (ASTER)とJaSST'11 Tokai 実行委員会が主催し,東海地区で開催するテスト技術に関するシンポジウム.なお、JaSSTは、他に東京と九州で開催される.
http://jasst.jp/archives/jasst11n.html

開催日時:2011年11月11日(金) 10:00 - 18:30
開催場所:名古屋市中小企業振興会館4F (名古屋市千種区)

当日の資料

ポスター資料(PDF 約1MB)

SIG資料:「テスト工程の開発文書品質」(PDF 約1.5MB)


実施報告

1. ポスターセッション

開催時間:13:00~13:30

山本(雅)と森川はASDoQの活動を紹介しました.ほとんどの方がASDoQの名前さえもご存知無く,直接説明した方と周りで聞かれていた方を合わせて15名程度の方にASDoQの存在を知っていただくことができました.

ディスカッションを通じ,ほとんどの方が文書品質に対して高い関心を持っておられる様子をうかがい知ることができました.何名かの方からは,ASDoQに参加したいというご意向も頂戴できました.

その一方で,立ち上がったばかりの研究会のため本当に成果が出るのかわからない,参加したくても会社の理解を得にくい,という意見もいただきました.

多くの企業様に理解・協力していただけるよう,このような会で継続して広報活動を行います.

2. SIG「テスト工程の開発文書品質」

開催時間:16:15~18:15
SIGオーナー:山本(雅),森川
SIG参加人数:12名(SIGオーナーを除く)

 概要

山本(雅)の進行の下,次の項目を実施しました.

  • 文書品質の現状の説明
  • テスト工程の現状の確認テスト工程で作成される開発文書と作成順序
  • 上流工程の開発文書に対して感じる問題点
  • まとめ

当初の計画では,テスト工程における開発文書の品質を参加者がどう考えるかを,主に聞く予定でした.しかし,参加者が置かれているテスト工程の現状確認に予想以上の時間を要しました.ただし,上流工程の開発文書品質に,テスト工程は影響を受けていることは確認できました.

 

テスト工程の現状の確認

「仕様書がない」,「仕様書に書かれていることは全てではない」という状況において,テストが行われている現状を知り,我々2人は唖然としました.

上流工程の開発文書の品質が良くないために,テスト技術者は困難な作業を行っています.テストエンジニアは,不完全な文書を基に,テストを考えなければなりません.そのため,どうしても「テストが漏れる → 不具合が見つからない → 品質低下 」という悪循環に陥っています.

たとえ,テストに必要な情報が上流工程の開発文書に記載されていたとしても,複数の仕様書に散らばっているケースが多いようです.そのため,テストケース(テスト条件の組み合わせ)の洗い出しがとても難しく,テスト漏れが発生しています.

テスト工程で作成される開発文書と作成順序

SIG参加者は,テストを次の手順で行っていました.作成される開発文書が明らかになるように,話をお聞きしました.開発文書をカギ括弧で囲み以下に示します.ただし,時間不足のために,我々の理解が不十分な点を含みます.

(1)「テスト計画書」の作成
「テスト計画書」には,次の項目が記載される:テスト対象物の概要,テスト戦略,テスト期間 など

(2) 「テスト仕様書」の作成
「テスト仕様書」には,次の項目が記載される:テスト対象物の概要を明確にしたもの,具体的なテストのやり方(テスト環境など) など

(3) テスト工程に対応する上流工程の開発文書のレビュー

(4) 「テスト設計書」の作成
「テスト設計書」には,テストの要求分析を実施した結果が記載される.

(5) 「テストケース仕様書」の作成
「テストケース仕様書」には,次の項目が記載される:前提条件,入力,期待出力,手順書,スクリプトなど

(6) テストの実行
テスター=テストを実行する人
実行結果=テスト結果(出力値の羅列)

(7) 「テスト報告書」の作成
テスト計画に対する報告書という位置づけ.
「テストプロジェクト完了報告書」とも呼ばれる.

上流工程の開発文書に対して感じる問題点

 参加者の方に,普段,上流工程の開発文書に対して感じている問題点を,付箋紙に書き出してもらい,模造紙に貼り付けて整理しました.そこから,上流工程における開発文書とその作成者に対して,次の問題点が見えてきました.

問題点1:品質の悪い開発文書が書かれている

  • 文書の読者にわかりやすい記述がされていない.
  • 他の文書に定義されていることが記載されていない.全体像が網羅できる記述が無い.
  • 暗黙知の記載が省略されている.
  • 日本語や記法がわかりづらい.解釈は読者に任せられている.
  • 用語統一がされていない.
  • 文書の不具合が多い.
  • 上位工程の文書と下位工程の文書で,記載内容がずれている.作成者が異なるため.
  • メール等でやりとりした情報が,設計書に反映されていない.
  • 箇条書きの条件項目にて,AND条件とOR条件が区別されず,混在している.
  • 正常系しか書かれていない.
  • 非機能要求が書かれていない.

問題点2:開発文書を意図的にあいまいに記述し,責任逃れをする人がいる

  • テスト実施後にしか,仕様書を完成する気がない.
  • レビューさえ通ればよい.
  • レビューに参加できる人が少ない時間に,レビューを設定する.

問題点3:言い訳をして,開発文書を書かない人がいる

  • “工数が足りない”という理由で,品質の低い文書を作成していることを悪いと感じていない.

問題点4:開発文書の改訂によって生じる影響に無関心な人がいる

  • テストエンジニアがテスト設計・実施をしている間に,設計書が平気で変更され,何処が変更されたのかを教えてくれない.
  • テストエンジニア自らが間違い探しをしなければならない.量が膨大すぎて大変.
  • 変更履歴にはざっくりしか書かれていないので,どう変更されたかがわからない.

まとめ

  • 上流工程の開発文書の品質が低いため,テスト工程にしわ寄せが来ている.

  • テスト工程内の開発文書も品質が高いと言えない.

 

3. JaSST’11 Tokaiに参加した所感

ASDoQの取り組みを多くの方に知っていただけ,非常に関心を持っていただけたことがよかったです.是非ASDoQに入会いただければと思います.

また,テストエンジニアが抱える問題の原因の1つに,上流工程の開発文書品質の低さがあることがわかりました.また,テスト工程内の文書についても同様の品質問題を抱えていることがわかりました.そのため,ASDoQの活動によって,文書品質を向上できれば,テストに関する多くの問題が解決できそうだと感じました.ASDoQの活動の必要性を再確認できました.

(森川)


投稿日時 2011-11-21 14:44:51 (3056 ヒット)

組込み総合技術展(ET2011)のIPAブースにて、事務局長の藤田悠(長野高専) が、「システム開発文書品質の課題と研究―ASDoQ へのお誘い―」について発表しました。

また、本研究会の活動を紹介するポスターを展示しました。

お立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました。

発表で用いたプレゼンテーションファイルとポスターをダウンロードしてご覧頂けます。

システム開発文書品質の課題と研究―ASDoQ へのお誘い―(PDF)

システム開発文書品質研究会(ASDoQ)ポスター(PDF)


投稿日時 2011-11-16 05:13:51 (3247 ヒット)

電子情報通信学会 知能ソフトウェア工学研究会(KBSE)にて,ASDoQ運営委員の山本修一郎が,「開発文書品質の研究課題についての考察」を発表しました.
KBSE開催プログラム

発表概要

講演名:「開発文書品質の研究課題についての考察」

日時:2011年11月11日(金) 9:40 - 10:20
場所:信州大学工学部 地域共同研究センター
発表先:電子情報通信学会 知能ソフトウェア工学研究会(KBSE)
発表者:山本修一郎(ASDoQ運営委員)
共同発表者:栗田太郎(ASDoQ幹事)・山本佳和(ASDoQ運営委員)

システム開発を成功させるためには,開発文書の品質が重要です.これまでに,プログラムのソースコードについては品質メトリクスなど多くの既存研究があります.しかし,開発文書の品質については明確な定義や評価基準,ならびに,その活用,改善方法がまだ確立されていません.

このため,開発文書品質の研究課題を整理するとともに,ASDoQ研究会のロードマップ部会で進めている,開発文書品質研究のロードマップ策定に向けた取り組みを紹介しました.

参考文献

[1] 山本修一郎,栗田太郎,山本佳和,開発文書品質の研究課題についての考察,電子情報通信学会,信学技報, vol. 111, no. 282, KBSE2011-45, pp. 55-60, 2011年11月.

主な質疑応答

(Q1) 開発文書には,自然言語,図式言語,形式言語があると整理されているが,図式などのモデルと開発文書の具体的な扱いについてはどのように考えていますか?
(A1) 自然言語と図式言語との相互関係の整理が追跡性の点でも課題であると認識しています.従って,この課題解決の必要性と解決時期などをロードマップ上に明示したいと思います.

(Q2)ソフトウェア要求仕様書について公開されている事例がほとんどないのが現状です.ASDoQ研究会 ではソフトウェア要求仕様書の事例の公開を考えていますか?
(A2)人材育成部会で開発文書のサンプル作成を考えているので,この部会に参加して いただければ,サンプルを入手できると思います.作成されたサンプルが公開されるかどうかは, 人材育成部会で判断されると思います.

(Q3)システム開発文書化技術については1980年代に多くの取組みがあったにもかかわらず,現代ではそれらの知識のいくつかが失われているため,それらを復興する必要があると 指摘されましたが,今回整理された知識が再び,失われる可能性はないのでしょうか?
(A3)もちろん,その可能性は否定できません.しかし,当時と現在の大きな違いの一つに,文書がデジタル化され,整理した技術をインターネット上でオープンに公開できることがあります. これまでは,知識が書籍として書庫に納められていたので,忙しい現場の技術者にとっては, その知識へ簡単に接近する方法がなかったと思います.今では,整理した知識をデジタル化してインターネット上で公開できるので,容易に閲覧できます.また,一度公開しておけば,そのサイトがなくならない限り, いつでもだれでも閲覧できます.

(山本修)

 


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