トピックス

  
投稿日時 2012-10-11 12:20:00 (3086 ヒット)

2012年10月5日に愛知工業大学 自由ヶ丘キャンパスにて,「ASDoQ大会2012」を開催しました.第1回となる今回は,「開発文書の新しい時代を切り拓こう!」というテーマを掲げて,開発文書について考えるきっかけとなる講演を行いました.

ASDoQ大会2012は,第1部 チュートリアル,第2部 講演会,第3部 情報交換会・ポスター発表という3部構成で開催しました.会員および非会員の方,合わせて87名の方がご参加くださいました.

第1部 チュートリアルでは,塩谷 敦子さん(イオタクラフト)の「もう苦しまない開発文書のとらえ方と書き方」と,森川 聡久さん(ヴィッツ)の「機能安全準拠開発に必要な文書技術の基礎」の2つを並行して実施しました.

第2部 講演会では,基調講演と招待講演,組織紹介,パネルディスカッションを行いました.

基調講演として,山本 修一郎さん(名古屋大学)が「開発文書とその品質をどう考えるか? ~開発文章改善,標準化,開発文書管理の視点から~」と題した講演を行いました.市販されている製品を購入すると保証書がついてくるように,システム開発にも品質を保証する文書が必要な時代になるだろうとし,開発文書の課題や開発文書の関連規格,関連研究などについて紹介しました.

招待講演1として,戸田山 和久さん(名古屋大学)が「『よい文書』とは何か―技術文書の論理と倫理」と題した講演を行いました.専門職である技術者に要求される技術者倫理の文脈から,良い技術文書(相手に応じて目的を達成できる文書)とは何かを解説し,隠れた前提や適切なコミュニケーションなどについて,多くの示唆をいただきました.

招待講演2として,和泉 憲明さん(産業技術総合研究所)が「利用者主導情報システム開発における成果物の管理と運用 -- AIST包括フレームワークに基づく自治体情報システム開発 --」と題した講演を行いました.和泉さんは,情報システムの開発にあたって発注者と開発業者(ベンダ)の間に入り,発注者に理解できる形で業務要件を定義したうえで,開発システムを複数の業者に分割発注する活動を行いました.これにより,利用者主導でシステム開発を進めることができ,開発するシステムのむだが減り,開発コストも抑えられたとのことです.

組織紹介として,ASDoQ代表幹事である山本 雅基さん(名古屋大学)が,ASDoQが2011年7月に設立してから現在までの活動について紹介しました.ASDoQは,ロードマップ部会,用語部会,人材育成部会という3つの作業部会で具体的な作業を行っています.
発表資料(PDF)

また,産業日本語研究会の世話人会 代表である井佐原 均さん(豊橋技術科学大学)が,産業日本語研究会の活動について紹介しました.

パネルディスカッションでは,本日講演いただいた5名の皆さんが壇上に並び,会場からの質問や相談に答えていきました.「文書品質に"適正品質"は存在する?」,「再利用を考えたとき,機能仕様書にはどこまで書けばよい?」などの開発現場の切実な悩みに対し,講演者の皆さんがそれぞれの経験に基づいてコメントしました.

講演会の締めくくりに,派生開発推進協議会の代表である清水 吉男さん(システムクリエイツ)にご挨拶をいただきました.清水さんは,要求と仕様を階層構造で表現するUSDM(Universal Specification Describing Manner)という技法を考案し,仕様もれが起こりにくい工夫をしていましたが,今日の講演会で,仕様もれとは別に「表現があいまい」という場合があることに気づいたそうです.これを踏まえて,今後も研究を進めていくとのことでした.

第3部 情報交換会では,ドリンクと軽食を片手に,「開発文書の新しい時代」について,講演者の皆さんや参加者の皆さんで話が弾みました.また,6件のポスター発表が行われ,それぞれのポスターの前でも議論が盛り上がっていました.


 


投稿日時 2012-09-06 04:08:03 (2985 ヒット)

SWEST14は,2012年8月30-31日に岐阜県下呂市で開催され,150名を超える方々が参加されました.

ASDoQは,ポスター発表とワークショップを行いました.
 

1.ポスター発表

ポスター発表では,ASDoQをご存じない多くの方に私たちの活動をご説明できました.開発文書に関心をお持ちの方が多数いることが確認できました.発表資料はこちらから.
 
 

2.ワークショップ

「ASDoQメンバと一緒に『あいまいな日本語表現』を体験しよう」と題して,8月31日(金)14:30~15:50に開催しました.前日の30日には,ASDoQメンバの山本雅,森川,後藤,原田,野村が打ち合わせを行い,接続語に関してそれぞれの経験を話し合い,理解を深めました.
 
31日のワークショップには,30名程度の方が参加しました.ワークショップは20分程度の講義(講義資料はこちら)と,1時間弱の演習からなっています.演習では,3~4名のチームに分かれて,以下の2つの演習課題について話し合いながら模造紙に例文を書いて頂きました(参加者が演習中に書いた例文はこちら).
 

 演習1 要求仕様書と設計書で使用する可能性がある他動詞を思いつき,
            必須格が欠落したあいまいな文と,あいまいではない文の例を書く.
           他動詞の必須格を書くという具体的にあいまいさを排除する方法を学ぶ.

演習2 複数の意味にとれる論理接続語として「ために」と「また」を取り上げて,例文を考える.
            これらの接続語を安易に使用すると十分に考えない論旨展開を増長し,好ましくないことを学ぶ.

 

次の写真は,演習風景です.ASDoQメンバが各チームを巡回し,アドホックに議論をしています.

 
最後にいくつかのチームに発表していただき,全員が共有しました.非常に興味深い意見交換もできました.例えば,「ために」と「ので」の使用について,次のような議論がありました.
 
実は,講師は「接続語は複数の意味を取ることができる.それを理解し,その上で,あいまいさを排除するように記述すべきである」と最初に述べました.そして,その一例として,「ために」は目的と帰結の論理的な接続時に使用できるので,あいまいさを生む可能性(ほとんどの場合,意味を理解すれば誤りませんが)があることを指摘しました.そこで,「ために」を目的の時だけに使用して,帰結の時には「ので」を使うことを推奨しました.これに対して,参加者は,「ために」と「ので」を比べると,後者は平易な話し言葉のようであり,前者の方が格調が高い書き言葉のように感じられる.そこで,文書には「ために」を使用した方が良いのではとの指摘がありました.このように自ら考えることは,この演習の目的であり,ありがたく思いました.今回講師は,論文でも「ので」が使用されていることを指摘し,平易で紛れない開発文書を書くために「ので」を積極的に使用しようと,コメントしました.
 
演習を通じて,参加された皆さんは「日本語表現のあいまいさ」について,理解を深めていかれました.ある参加者の方は,あいまいさの排除に留まらず,「わかりやすい文章を書く」技術に関心を示されていました.
参加者の皆さんが大変真剣に演習に取り組まれました.この演習を企画して実施したASDoQメンバにも,様々な気付きがありました.ありがとうございました.

 


投稿日時 2012-06-15 18:48:41 (1909 ヒット)

2012年6月12日~14日に開催されたソフトウェア・シンポジウムSS2012内のワーキンググループにて、ASDoQメンバー3名がWGリーダーとなり、「システム開発文書品質」をテーマに議論しました。


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