2013年3月1日に東京大学 情報学環・福武ホール ラーニングシアターにて行われた,第4回産業日本語研究会・シンポジウムにて,ASDoQの活動を紹介しました.参加者169名の皆さんが耳を傾けてくださいました.
システム開発と,その過程で作成する文書と関係を解説し,システム開発に関わる文書の品質に関心を持った方が集まって設立した「システム開発文書品質研究会」を紹介しました.さらに,作業部会で取り組んでいる活動を中心に,ASDoQで行っている取り組みの紹介をしました.
産業に関係する日本語を対象に取り組んでいる団体の皆さんと,情報交換などしていきたいと考えています.
12月5日に第4回研究会を開催しました.会員および非会員14名が参加しました.概要は次のとおりです.
日時:2012年12月5日(水) 13:00-18:00
場所:フェリカネットワークス 会議室(東京都品川区)
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1.運営状況報告
ASDoQの会員数やイベントの実施報告を行いました.10月に主催したASDoQ大会のほか,8月のSWESTにおいて実施したワークショップと11月のJaSST東海において実施したSIGについての報告がありました.
2.研究発表
日本アイ・ビー・エム・サービスの原口智史さんに,「テキスト分析技術を利用した開発関連文書の文書品質の定量化」と題した講演をいただきました.組み込みソフトウェアの不具合には,文書の表現に起因するものが少なからずあるとして,不具合につながりやすい文書の表現例を挙げ,どのように修正すればより正確で読みやすい文書になるのかを解説いただきました.また,同社が開発した文書校正支援ツールと人間による目視調査の比較結果などを紹介いただきました.また,意味が分かりづらい文章を,意味が明確になるように書き換える演習も行いました.
3.作業部会発表
ロードマップ部会からは,山本修一郎さんが「要求仕様文書化技術の潮流」と題して,2011年に策定されたIEEE 29148(要求工学の規格)の概要を解説しました.IEEE 29148はステークホルダ要求とシステム要求,ソフトウェア要求の関係を明らかにしており,各要求の内容や対象などについても明確にしています.また,本規格は英語で記述されているのですが,shall / will / should / mayといった英語表現を和訳する際に,どのように表現すれば誤解が生じないですむのかなど,検討が必要だとのことでした.
用語定義部会からは,塩谷敦子さんが活動報告を行いました.「ASDoQで用いる用語を定義しよう」という目標のもと,4つのASDoQ標準用語と31の関連用語を定義し,2012年10月より用語集Ver.0.0として公開しています(ASDoQの活動成果を参照).今後も,部会活動などで定義を共有する必要がある用語を中心に,用語定義の作業を進めるとのことです.
人材育成部会からは,山本雅基さんが活動報告を行いました.これまで,架空の一人乗り移動体「ムーブレボ」を題材としてシステム要求仕様書を各自が執筆してみました.その後,要求仕様を記述する対象サブシステムとして「通報システム」を想定し,このシステムのソフトウェア要求仕様書を書いてみることにしました.まずは目次を統一しようと試みましたが,執筆者それぞれのシステムの捉え方がそれぞれの目次に反映されており,統一するのは難しいことがわかりました.現在は,まずは各自が要求仕様書を最後まで書いてみようということで,それぞれ作業を進めているとのことです.
4.今後の進め方についての話し合い
最後に,ASDoQの今後の取り組みについて話し合いました.山本 雅基さんが,システム開発文書の品質特性(妥当性,非あいまい性など)への理解を深めるために事例や提案を集めたデータベースを作ってはどうかと提案しました.それに対して,参加者でざっくばらんに意見交換を行いました.