2015年10月23日に,名古屋大学ESホールにおいて,ASDoQ大会2015を開催しました.
今回の大会では,「次の一歩を踏み出そう,開発文書 ~文書品質モデルを道標に~」をテーマとして,現在から将来にわたってシステム開発を取り巻く開発文書の課題について考えました.
さらに,ASDoQが5月に発行した「システム開発文書品質特性Ver.1.0」が開発文書品質の道標(みちしるべ)になるべく,その解説と適用事例を紹介しました.
オープニングでは,プログラム委員長の森川が,今回の大会の趣旨とご参加の方々の興味関心や傾向を紹介しました.
森川による発表の様子
はじめに,名古屋大学の中村 昭典様から,「システム開発と広告制作の類似性 ~人を動かすコミュニケーション・プロセスから何を学ぶか~」をご講演いただきました.
相手に伝えて,人を動かすためのコミュニケーション手段として文章を用いるという点について,お話しいただきました.さらに,システム開発と広告制作における類似点と相違点から導かれる,コミュニケーションのとらえ方と、それをシステム開発に活用していくヒントをいただきました.
中村様による講演の様子
次に,宇宙航空研究開発機構(JAXA)の梅田 浩貴様から,「アシュアランスケースの有効活用ポイントとは ~効果的な作成と普及~」をご講演いただきました.
アシュアランスケースの応用事例として,ソフトウェアの品質を保証するために,GSNを用いて論理を可視化するときの工夫やポイントについて,講演していただきました.
梅田様による講演の様子
デンソークリエイトの小林 展英様から,「D-Caseで開発成果の品質をどのように説明するか? ~ソフトウェア開発現場におけるD-Case活用事例~」を講演していただきました.
小林様による講演の様子
ASDoQから,今年5月に発行した,システム開発文書品質モデル Ver.1.0について,藤田が品質特性の考え方をふまえて説明しました.
藤田による発表の様子
さらに,システム開発文書品質モデルを活用した事例として,実業務の中で継続的にスキル向上に取り組むために,受講者が自身の弱点や強化すべき点を品質特性によって把握する試みを塩谷が紹介しました.
塩谷による発表の様子
事例の2件目として,効率的に開発文書の品質を可視化するための手法開発の取り組みを小林が紹介しました.取り組みでは,診断ツールと人手レビューにて開発文書の品質可視化を試みました.
小林による発表の様子
最後に,東芝 インダストリアルICTソリューション社の梅木 秀雄様から,「AI革命で変わるものづくりプロセス」をご講演いただきました.
梅木様による発表の様子
引き続き,場所を移して,ポスター発表を行いました.各ポスターの説明者から順に概要を説明していただく「ツアー」を行い,各取り組みに関して議論を深められました.
ポスター発表でのツアーの様子
今後,ASDoQでは,システム開発文書品質モデルの活用を中心に,文書品質の評価,品質の改善等について,取り組みを進めていきます.
ASDoQ大会のご講演やご参加者との意見交換から得られた新しい知見や貴重なアドバイスを活かし、開発現場の文書に関する課題解決に向かっていきたいと考えます.
9月17日に,「ソフトウェア品質シンポジウム2015(SQiPシンポジウム2015)」(会期:9/16-9/18) 内のSiGにてASDoQのシステム開発文書品質モデルを使ったグループワークを実施しました.ASDoQ幹事2名がSiGリーダを務め,28名の方にご参加いただきました.
SIGテーマ10「文書品質を測る!~開発文書の品質可視化にTRYしてみよう~」にて,システム開発文書品質モデルの概要を解説した後で,開発文書の同じサンプルを使い,各グループで開発文書の不適切な点を指摘し,システム開発文書品質モデルの品質特性と副特性に分類してみました.
参加者が関わってこられた主な仕事の種類の内訳は次のとおりです.
この仕事の種類によって,次の5つのグループに分かれ,文書内の不適切な点の抽出と分類を行い、各グループ代表者が発表しました.
①開発グループ
②改善・教育グループ
③改善・教育グループ(一部に開発の方を含む)
④テスト・QAグループ
⑤テスト・QAグループ(一部に開発の方を含む)
各グループでの,指摘点の特性別の傾向は次のとおりでした.それぞれの立場により視点が異なるためか,グループによって異なった興味深い傾向が出ていました.
(注)文書へのそれぞれの指摘および品質特性・副特性への分類は,とくに統一した観点を設けてはいません.本活動に限定した状況においてのグループ個別の傾向ととらえてください.特性・副特性において数値0は,「該当なし」「判断できない」を含みます.
①開発グループ
(副特性の分類ができていない部分は,まとめて集計しています)
②改善・教育グループ
③改善・教育グループ(一部に開発の方を含む)
④テスト・QAグループ
⑤テスト・QAグループ(一部に開発の方を含む)
また,SQiPシンポジウム会場内に,ASDoQの活動と,システム開発文書品質モデルを紹介したポスターも掲示しました.
8月27日,28日に行われた「組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST)」にて, ポスター掲示とセッションを実施しました.
ポスター発表では「システム開発文書品質特性 Ver.1.0をリリースしました」と題し, ASDoQの活動紹介と,システム開発文書品質モデルを紹介しました.SWESTというワークショップの性格上,参加者はメーカーやソフトウエア企業所属の社会人の方から学生さんまで,多くの方にASDoQのポスターを見ていただきました.お話をさせて頂いた多くの企業の方が,開発プロセスに従って業務をされており,「文書品質」という考え方に関心をお持ちでした.
セッションでは『システム開発文書の品質を考えよう』と題してグループワークをしました. 初めに,システム開発文書品質モデルの概要を解説しました.
次に,品質モデルをふまえて,4グループに分かれて, 参加者各々が意識している文書品質や文書の書き方などを意見交換したり, サンプル文書を対象に,不適切な文書表現などを抽出したりしました. グループごとに,上がった意見や抽出事項などを,ASDoQの品質特性に分類して,品質モデルを活用しました.
分類する品質特性に迷うことや,複数に当てはまるものがあったなど,測定に関する課題を確認したり,求められる文書品質の傾向を見て可視化を体験したりできました. 最後に,各グループで討議した結果を全体で共有して,セッションを終えました.
これをきっかけに,文書の品質を可視化したり, 文書の品質を高めるヒントを得ていただけたのであれば嬉しいです.