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投稿日時 2018-09-10 10:57:43 (1878 ヒット)

今回の研究会では、システム開発文書品質の「完全性」を満たす方法を、次の流れで討議しました。

  1. サマーワークショップの報告と意見交換
  2. システム開発文書の品質特性「完全性」を満たす文書化技術の列挙
  3. 文書化技術を使う具体的な方法の検討
  4. グループ討議の結果の共有と意見交換
 
まず、サマーワークショップの報告と意見交換を実施しました。
次の写真は、ASDoQ運営委員からサマーワークショップの報告をしている様子です。
 
サマーワークショップの報告を通じて、参加者から様々な意見が出ました。
そして、完全性を満たす開発文書を書くために、「開発スキル」「ソフトウェア工学の知識」「文書スキル」の3つの軸を立ててみました(ホワイトボードの図)。
 
 
その上で、次のような意見がありました。
 
  • 「完全性」を高めるためには、ソフトウェア工学の適用が必要ではないか。
  • ソフトウェア工学は、知識として知っているだけではなく、使えなければならない。
  • 例えば、状態遷移を知識として知っているだけではなく、対象を分析して何を状態としてくくり出すかというモデリングのスキルが必要となる。
  • 開発の過程では、それらのスキルを発揮して、設計書などの開発文書として表現する。
  • ASDoQの文書品質モデルでは、「規範適合性」は基本的な品質特性であり、「完全性」はソフトウェア工学のスキルを発揮した結果の品質特性ではないか。
  • ASDoQの文書品質モデルは、性質が異なる品質特性で構成されているようだ。
 
まだ意見が出された段階で、まとめきれていません。
 
その後、完全性を満たす文書化の技術の列挙をワークにて行いました。
ワークでは、事前に運営側で用意した要求仕様のサンプルを検討の材料にしました。
以下はワークを行っている様子です(今回は3チームです)。
 
■チーム1
 
■チーム2
 
■チーム3
 
列挙した内容を各チームで発表していただきました。
 
■チーム1は、開発技術と文書技術をつなぐものを列挙しました。
 
■チーム2は、開発を意識した文書技術を列挙し分類して、その中から「レビュー」を取り上げました。
 
 ■チーム3では、サンプル仕様(三角形の判定方法)をもとに、完全性を満たすための方法を列挙しました。
 
発表後、列挙した技術の中から1つテーマを選び、その技術を使う具体的な方法を各チームで討議しました。
各チーム、様々な観点で完全性を満たすための技術を列挙し討議しました。
 
■チーム1では、要求仕様書のガイドラインを定義するための具体的な方法を検討しました。
 
■チーム2では、レビューで「記述漏れ」と「記述誤り」を見つけるための具体的な方法を考えました。
 
■チーム3では、開発文書の目次に着目し、目次に記載すべき内容、各章に記載する粒度や内容を検討しました。
 
これらのアウトプットをベースに、さらに、開発文書の完全性の議論を進めていきたいと考えます。文書品質モデルのブラッシュアップにもつながりそうです。


投稿日時 2018-07-31 21:47:05 (2051 ヒット)

2018年7月20-21日に京都市にて,ASDoQサマーワークショップ2018を開催しました。

今回のワークショップでは、システム開発文書品質モデルにおける「完全性」について、とくに要求仕様書を想定して、その完全性を高める方法を議論しました。
まずは事前に会員の皆さんから集めた完全性に関するアンケート結果(工夫していること・困っていること)を参加者間で読み込み、キーワードを抽出し分類しました。
以下はキーワードを分類している様子です。
 
完全性について検討してみると、完全性とは直結しない問題が数多く出現します。
論理性、理解容易性の問題も関わってくるため、ここでASDoQが定義する完全性の復習を行いました。
以下の写真は、システム開発文書品質モデルの定義を確認している様子です。
 
 
ASDoQが定義している完全性は「開発に必要十分な情報が記載されていること」であり、その副特性を次のように定義しています。
 
  • 合目的(読み手と目的を明示している、目的に合致した内容を記述している)
  • 正確(記述内容が正しい)
  • 妥当(記述内容が妥当である)
 
この定義を再確認するために、完全性を満たすための方法をリストアップしました。
 
  •  ステークホルダーを理解する
    →ステークホルダーとは後工程の人であり、読み手によって書く内容が決まる
  • モデル化(状態遷移図表などを使って抽象化)
    →文章では表現できない内容を表現する
  • フィードバック
    →ペーパープロトタイピングによる素早いフィードバック
    これにより隠れた要求を引き出す
 
2日目は、システム開発文書の完全性を高めるための具体的な手法についてのブレストをしました。
3つのグループに分かれ、システム開発文書品質モデルの完全性の副特性の観点から、具体的な手法を抽出しました。参加者が実際の場面で使用しているツールや手法、経験からのノウハウなどを列挙して、グループそれぞれでまとめました。
以下の写真は、各グループでブレストをしている様子です。
 
 
 
開発文書の完全性は、これまでソフトウェア工学においても議論されてきたソフトウェア自体の完全性に深く関わっていることを、あらためて参加者同士で認識しました。
そして、開発文書の完全性をソフトウェアやシステム自体の完全性とどう切り分けるか、はたして切り分けができるのか、開発文書の完全性をどうとらえ定義すべきか、さらに議論を深めていきたいと考えます。
 
9月6日に開催する研究会では、今回の討議結果を基に、さらに議論を進める予定です。


投稿日時 2018-05-27 12:54:27 (2972 ヒット)

2018年5月25日に,2018年度総会・第18回研究会を名古屋大学にて開催しました.

はじめに,2018年度総会として,2017年度の報告,2018年度の計画について事務局から説明があり,参加者の皆さんから承認をいただきました.

次に,第18回研究会を行いました.計算機処理による分析の事例として,粕渕清孝さんが「自然言語処理によるシステム開発文書品質改善の試み」について,ご発表くださいました.レビューの効率化のために,レビューで用いられた語句を分析して,使われている語句を次のレビューに生かす取り組みについて,紹介してくださいました.
 

引き続き,ASDoQ大会2017にて受賞したポスター発表から,小林 直子さんが「文書品質モデルを活用した品質可視化の試み-レビュー情報をプロジェクトの振り返り活動へ活かす-」についてご発表くださいました.ドキュメントの欠陥情報を次の開発に活かすために,ASDoQの文書品質モデルでドキュメントの欠陥情報を分析し,その分析の有効性を評価した取り組みを紹介してくださいました.

最後に,ワークショップとして,栗田太郎さんが「読みの論理のワークショップ~「国語」から開発文書の品質を考える~」について,参加者による演習や,ペアでのディスカッションを含めて行いました.文書を読むときの工夫や振る舞い,傾聴のテクニック,ワークショップの要素などを紹介してから,演習を行いました.演習では,文書を読むときに各自がどのような工夫をしているかを振り返ってから,評論文を実際に読んで自分自身の行動を観察して,それをペアの相手と情報交換しました.文章を分析的に読む方法などを考えました.

今年度も研究会,ワークショップ,ASDoQ大会を計画しています.皆さんからのご意見やご要望を取り入れながら進めていきたいを思いますので,どうぞよろしくお願いします.


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