トピックス

  
投稿日時 2021-09-03 10:22:13 (1680 ヒット)

2021年9月3日に,第27回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました.22名の方に参加していただきました.今回の研究会では,2つのテーマを取り上げました.


 1.「俳句練習はシステム開発文書品質の向上に役立つ?!」山本雅基(名古屋大学)


プレバトというTV番組の俳句コーナー(芸能人が詠んだ俳句を俳人の夏井先生がコメントして校正する)を気に入っている山本さんが,夏井先生の著書を紹介しながら,俳句と開発文書の関係をひもときました.


 システム開発を進める技術者は,最近,SlackやTeamsなどのチャットや帳票などに短い文を書くことが多くなっています.山本さんは,「短い文だからルーズに書いていた」と反省し,わずか17音の俳句に親しむと,「短い文だからこそ考えてきちんと書く」癖がついて文書品質が高まるのではと,指摘しました.実際に,自分で詠んだ俳句を紹介したり,面白い講演でした.皆さんも,俳句を詠んで,文書品質を高めてみませんか.

講演資料は,こちらから.

 2.「自然言語処理AIの技術動向 ~意味理解への期待と現実~」粕渕 清孝(株式会社 SCREENアドバンストシステムソリューションズ)


最近は,自然言語処理AIシステム・サービスの開発をしている粕渕さんが,技術動向の紹介とシステム開発工程へのAI適用について説明をして下さいました.


自然言語処理AIの意味理解への期待が高まっています.意味理解が概念と概念間の関係であるならば,現時点ではまだそのレベルに達していないでしょう.現在,意味理解実現のアプローチとしてスーパーコンピュータ並の計算環境と膨大なデータによる物量作戦が主流です.しかし,製造現場の再発防止・未然予防の視点からは別のアプローチも考え得るのではないでしょうか.例えば,AIが見出した知見を別のAIでも再利用できるようになれば,知見の漏れ抜けを恒久的に防ぐ知見エコシステムを構築できると考えています.

システム開発工程へのAI適用は問い合わせ効率化や設計改善支援など既に実用化されています.意味理解が実現されればさらに多くの適用先が増えるでしょう.会社には,多くの開発文書が存在します.その活用が進めば,生産性や品質を深い水準から高めることができます.今から自然言語処理AIを活用することが,将来のアドバンテージになるはずです.皆さんも,是非ご検討ください.

講演資料は,こちらから.


投稿日時 2021-05-31 12:36:42 (1405 ヒット)

活動報告:2021年度定期総会・第26回研究会を開催しました.

2021年5月28日(金)に,2021年度定期総会と第26回研究会をオンライン(Zoom)で開催しました.

1.2021年度定期総会

事務局長の藤田さんの司会で,進行しました.はじめに,現在の会員数(個人会員96名,法人会員23社)が報告され,委任状と参加申込みの合計が会員数の1/2にあたる81となり,総会成立が確認されました.

議事は,2020年度の事業報告・会計報告・会計監査報告,役員改選,2021年度の事業計画・収支計画でした.事業については事務局長の藤田さんが,会計については会計の塩谷さんが,役員改選については代表幹事の山本さんが報告しました.

2011年7月11日に設立したASDoQが節目となる10年目に,運営委員会から役員交代が提案されました.代表幹事が山本雅基さんから塩谷敦子さんに,運営委員の奈良慶之さんが退任,内野将輝さんが加わる提案でした.それぞれ簡単な挨拶が行われました.

総会では,全ての議案が当初案の通りに承認されました.コロナ禍が続く2021年度ですが,代表幹事の交代と共に気分も一新して,システム開発文書品質に,明るく取り組んでいきましょう.

 
司会:藤田悠さん 新代表幹事:塩谷敦子さん 旧代表幹事:山本雅基 新運営委員:内野将輝さん
 
会員は,総会資料を閲覧できます.[会員メニュー - 活動の記録 - 第26回研究会(定期総会)] をご覧ください.
 

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2.第26回研究会

総会に続いて,第26回研究会が開催されました.今回は,2講演が行われました.会員は,講演の発表資料を閲覧できます.[会員メニュー - 活動の記録 - 第26回研究会(定期総会)] をご覧ください.資料に興味がある非会員の方は,どうぞこの機会に,会員にご登録ください.
 

講演1 

最初の講演は,新しく代表幹事になられた塩谷敦子さんの「システム開発文書品質10年よもやま話」でした.
 
塩谷さんは,2011年のASDoQ設立時から参画しておられて,10年間の活動を俯瞰されました.システム開発文書品質という未知の領域を,ASDoQが手探りで歩いてきたことがエピソードを交えて語られました.
 
そのうえで,業務経験からも感じてこられた開発業務と文書作成の関係が俯瞰されました.ソフトウェア品質評価の国際規格ISO9126-1に触発され,文書作成そのものを「文書開発プロセス」として捉えて,開発文書の品質向上に切り込む塩谷さんなりの取り組みも紹介されました.
 
さらに,ロードマップ部会が作成した開発文書品質の研究課題一覧が示され,ASDoQの活動領域がまだ大きく広がっていることが示されて,「みんなでシステム開発文書品質に取り組みましょう」と呼びかけられました.
 
シェイクスピア好きの塩谷さんは,マクベスで語られる「明けない夜はない」という台詞を引用されました.コロナの夜が続きますが,夜は夜なりにオンラインで活動しましょうと,締められました. 
  

 

 講演2

2つめの講演は,ASDoQ会員であり,かつテクニカルコミュニケーター協会(TC協会)にも属されている村田珠美さんの「開発者と並走したい、テクニカルコミュニケーター」でした.テクニカルライターは比較的,耳馴染みのある職種である一方,開発者の皆さんに馴染みの少ない「テクニカルコミュニケーター」を俯瞰した内容でした.
 
「対象とする相手に技術的な情報を伝える専門家」であるテクニカルコミュニケーターの仕事の内容や能力について,改めて知ることができました.取扱説明書を作成する過程で,実際に動作する製品に加えて,その要求仕様書や設計書などASDoQの関心事である開発文書も参照されます.
 
改めてテクニカルコミュニケーターから「用語統一の大切さ」や「後工程になるほど作業負荷が大きくなること」などの指摘を受けて,それらの重要性を再確認しました.開発の上流工程から,システム開発技術者と,テクニカルコミュニケーターが交流することの有益さが提示されて,目から鱗の方も多かったのではないでしょうか.
 
村田さんは「開発者とテクニカルコミュニケーターの並走」と言われていました.システム開発文書品質に着目するASDoQが,ソフトウェアやハードウェアの技術者だけではなく,テクニカルコミュニケーターの皆さんにも関心事となる場を提供していることが,よく分かりました.もちろん,それらの皆さんに限定されることなく,言語や論理や図形や表現など,情報の共有や伝達に関する全ての領域に広がりを見せていくことと思います. 
 
 
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 ASDoQでは,皆さんからの取り組み事例の発表をお待ちしております.
 
 2021年度のASDoQ大会は,11月8日(月)の午後に,オンラインで開催されます.予定を入れていただけると,とてもうれしいです.

 

 


投稿日時 2021-03-22 09:32:13 (1491 ヒット)

 2021年3月17日に、第25回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました。24名の方に参加していただきました。

 今回の研究会では、近年注目を集めている「UX:User eXperience」をテーマに取り上げました。

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 最初の招待講演は、『ビジネスマンのための新教養 UXライティング』の著者のお一人である冨永敦子教授(公立はこだて未来大学 メタ学習センター)をお招きし、『さまざまな場に通じるUXライティングの考え方』のテーマでご講演いただきました。
 クイズ形式で参加者と交流したり、さまざまなUXライティングの事例紹介により、UXライティングについてわかりやすく説明していただきました。また、「アサーティブネス」というコミュニケーション手法についても教えていただきました。
 今回のご講演では、UXライティングのテクニック以上に、「ユーザーと一緒にユーザーのニーズを達成する」という考え方や姿勢が重要だと学ぶことができました。相手に対する表現方法は色々ありますが、その中の「文字」に対して気を配るのがUXライティングだと理解しました。このためには、相手の受け取り方についてよく考えて対応することが、根本の姿勢として重要だと学びました。これは、仕事に限らず日常生活全般において重要なことですので、日々の生活を振り返るよい機会になったのではないでしょうか。
 
 
(招待講演 冨永敦子 氏)
 

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 次に、『UXが重視されるシステム開発を、開発文書にこだわって考えてみよう』のテーマで、ASDoQ代表幹事の山本雅基さん(名古屋大学)に議論を進行していただきました。
 議論の導入として、某大企業のソフトウェアエンジニア採用ではUXデザインの高いスキルも要求されていることを踏まえ、これからのエンジニアにとってのUXスキルについて議論しました。短い時間の中で、さまざまな意見が交わされました。
 最後に山本さんにより、以下のようにまとめていただきました。
  •  自動運転のような複雑なシステムの場合、エンジニアにはUXスキル以前にドメイン知識が無いと難しいだろう。
  •  ドメイン知識を持っている人がUXのセンスも身に着けることで、世の中に無いシステムの要求を考えデザインするという、発想力のある創造的な仕事が可能になる。

 

 
 (討議 山本雅基さん)
 

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 最後に、ASDoQ幹事の藤田さん(長野工業高等専門学校)により、『ASDoQ文書品質モデルによる文書評価のためのRedPen活用の試行』のテーマで、活動事例を紹介していただきました。
 RedPen(http://redpen.cc/)は、技術文書を評価するためのオープンソースソフトウェアです。藤田さんは、RedPenの評価項目とASDoQのシステム開発文書品質モデルの測定項目との対応関係やカバレッジを整理されました。その結果、意味論が強く関係しない「理解容易性」「可読性」「規範適合性」の測定項目の多くについて、RedPenで評価可能であることがわかりました。さらに、RedPenの評価項目の拡充についても検討されていました。
 本事例を参考に、皆さんにもRedPenやASDoQの文書品質モデルを活用していただければと思います。
 
 
 (活動紹介 藤田悠さん)
 
(紹介資料から1)
 
(紹介資料から2)
 
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  ASDoQでは、皆さんからの取り組み事例の発表をお待ちしております。
 
 さて、次回のASDoQイベントは、2021年度総会・第26回研究会(5月28日(金)予定)です。次回もオンライン開催の予定です。詳細が決まり次第ご案内しますので、皆さん、ぜひご参加ください。
 

 


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