2021年3月17日に、第25回研究会をオンライン(Zoom)にて開催しました。24名の方に参加していただきました。
今回の研究会では、近年注目を集めている「UX:User eXperience」をテーマに取り上げました。
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最初の招待講演は、『ビジネスマンのための新教養 UXライティング』の著者のお一人である冨永敦子教授(公立はこだて未来大学 メタ学習センター)をお招きし、『さまざまな場に通じるUXライティングの考え方』のテーマでご講演いただきました。
クイズ形式で参加者と交流したり、さまざまなUXライティングの事例紹介により、UXライティングについてわかりやすく説明していただきました。また、「アサーティブネス」というコミュニケーション手法についても教えていただきました。
今回のご講演では、UXライティングのテクニック以上に、「ユーザーと一緒にユーザーのニーズを達成する」という考え方や姿勢が重要だと学ぶことができました。相手に対する表現方法は色々ありますが、その中の「文字」に対して気を配るのがUXライティングだと理解しました。このためには、相手の受け取り方についてよく考えて対応することが、根本の姿勢として重要だと学びました。これは、仕事に限らず日常生活全般において重要なことですので、日々の生活を振り返るよい機会になったのではないでしょうか。
(招待講演 冨永敦子 氏)
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次に、『UXが重視されるシステム開発を、開発文書にこだわって考えてみよう』のテーマで、ASDoQ代表幹事の山本雅基さん(名古屋大学)に議論を進行していただきました。
議論の導入として、某大企業のソフトウェアエンジニア採用ではUXデザインの高いスキルも要求されていることを踏まえ、これからのエンジニアにとってのUXスキルについて議論しました。短い時間の中で、さまざまな意見が交わされました。
最後に山本さんにより、以下のようにまとめていただきました。
- 自動運転のような複雑なシステムの場合、エンジニアにはUXスキル以前にドメイン知識が無いと難しいだろう。
- ドメイン知識を持っている人がUXのセンスも身に着けることで、世の中に無いシステムの要求を考えデザインするという、発想力のある創造的な仕事が可能になる。
(討議 山本雅基さん)
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最後に、ASDoQ幹事の藤田さん(長野工業高等専門学校)により、『ASDoQ文書品質モデルによる文書評価のためのRedPen活用の試行』のテーマで、活動事例を紹介していただきました。
RedPen(
http://redpen.cc/)は、技術文書を評価するためのオープンソースソフトウェアです。藤田さんは、RedPenの評価項目とASDoQのシステム開発文書品質モデルの測定項目との対応関係やカバレッジを整理されました。その結果、意味論が強く関係しない「理解容易性」「可読性」「規範適合性」の測定項目の多くについて、RedPenで評価可能であることがわかりました。さらに、RedPenの評価項目の拡充についても検討されていました。
本事例を参考に、皆さんにもRedPenやASDoQの文書品質モデルを活用していただければと思います。
(活動紹介 藤田悠さん)
(紹介資料から1)
(紹介資料から2)
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ASDoQでは、皆さんからの取り組み事例の発表をお待ちしております。
さて、次回のASDoQイベントは、2021年度総会・第26回研究会(5月28日(金)予定)です。次回もオンライン開催の予定です。詳細が決まり次第ご案内しますので、皆さん、ぜひご参加ください。