2019年2月20日 名古屋ウインクあいちにて、第20回研究会を開催しました。
今回の研究会では、ASDoQ大会2018で審査員特別賞を受賞された発表チームのお一人であるデンソークリエイトの山路厚さんに、より詳しく話して頂きました。「開発文書の品質の可視化」と題して、原理的思考に基づいた正しく伝わるレビューの記録方法の講演とワークをして頂きました。
ワークでは実際に文書のレビューを行いました。 相手に正しく伝わる指摘を作成する難しさを改めて体感できました。
現場のレビュー指摘内容は間接情報が多く、指摘内容を理解するのにかなりの労力を使っています。 デンソークリエイトでは、指摘内容を直接情報で理解できる仕組み(Lightning Review)を導入しているそうです。それにより以下のような効果が出ているそうです。
・差し戻し件数が1/8に減少した
・軽微な指摘も全て記録になった
・カイゼンのための材料(記録)を蓄積できるようになった
そして、レビュー指摘の記録がどのように文書品質に役立つかを皆で議論しました。
次に、ASDoQ運営委員の山崎伸洋さんの司会で、システム開発文書品質モデル(ASDoQ発行)の継続的な改訂のために改善点の討議を行いました。主に以下のようなトピックで議論をしました。
・文書品質モデルがなぜ必要か
・使いにくい、わかりにくい点はないか
・どのように使えるのか
個人ワークの後はグループで討議しました。
発表の様子(グループ1)
・文書として体を成すという視点で文書品質を定義しているのは有意義
・分類が難しいため、ツールで分類を自動化できないか
・人のスキルに依存する
発表の様子(グループ2)
・レビュー時に有効(指摘傾向の分析)
・分類に時間がかかるのがネック
・完全性、規範適合性がイメージしにくい
発表の様子(グループ3)
・教育に活用したい
・使う人に応じた使い方ガイドラインが必要(初級編、中級編等)
発表の様子(グループ4)
・具体的にカウントできるものを持ってくると、基準がわかりやすく測定しやすくなるのでは(SQuaREが適していそう)
・完全性という項目のネーミングを見直してみてはどうか
・フローチャート等で分類ガイドを作る
発表の様子(グループ5)
・使い方ガイドが必要
・項目が多く分類を難しくしているため、項目を減らす
・項目は技術/テクニカルライティングの2つに分ける
まとめますと、以下の必要性が分かってきました。
・各品質特性の更なる明確化
定義と範囲の更なる明確化、及び、特性の分類を可能にする具体例
・使い方のガイドライン
使う場面にあわせて、文書品質モデルの有効性と使い方を示すもの
引き続き、システム開発文書品質モデルの有効な活用のための改善を進めていく予定です。