SWEST16は,2014年8月28-29日に開催されました.私たちは,8月28日 21:00-22:30の夜の分科会のセッションを担当しました.
タイトル:開発文書と感情の意外な関係
参加者: 山本雅,小林,森川
内容:私たちは感情を持つ人間ですが,システム開発は,過度に感情的(特にネガティブ)にならずに,冷静に論理的に行うべきです.でも,時々感情に振り回されてQCDを下げる失敗もします.原因は様々ですが,開発文書がきっかけになることもあるはずです.この分科会では,開発文書を読み書きしている時に感じたことを分かち合います.感情という一見場違いな側面から見つめることで,開発文書に対する理解が深まるのでは無いでしょうか.開発文書をイヤイヤ書いたり読んだりすることから卒業しませんか.
SWESTの夜に開催されるセッションは,夕食後に開催されます.夕食では,アルコールを飲まれている方が多く,私もその一人です.セッションが居酒屋での愚痴の言い合いにならないようにすることは,モデレータとして注意すべきことです.その試みが上手く行ったか否かは,参加者の皆さんが判断されることです.
何はともあれ,セッションには,40名程度の方にご参加頂き盛況になりました.色々な方にご発言頂き,90分があっという間に過ぎました.
発言の多くは想定の範囲内でしたが,多くの方からご意見を頂くと,改めて開発文書の抱える課題が見えてきました.「あいまいに記述された文書に苛ついた」「締め切りを目の前にして焦って書いていた」などの体験談が,参加者の皆さんから披露されました.
現在,私たちは,開発文書の品質を考えています.開発文書という「成果物の品質」です.しかし,私たちは,その他に「プロセスの品質」を考えていく必要があるはずです.開発文書を「書く」「読む」という「プロセス」に着目することは,幅広く開発文書の品質を考えていくために,必要なことだと思うのです.
「プロセスの品質」へのアプローチは多様です.その中の一つに「一人称としての感情を観察する」と言うアプローチがあっても良いのではないでしょうか.
このアプローチは,開発に要する時間やバグ曲線などのデータ分析ではなく,「わたし」という一人称が開発プロセスを通じて「感じる」ことを丁寧に観察することです.生身の人間である「わたし」や「あなた」が,開発という仕事をするのです.品質の追求は,「わたし」や「あなた」の幸せに通じるべきです.
開発文書の品質についての追求は始まったばかりです.これから,様々な機会を通じて,取り組んでいきましょう.
(報告:山本雅)