今回の研究会では、システム開発文書品質の「完全性」を満たす方法を、次の流れで討議しました。
- サマーワークショップの報告と意見交換
- システム開発文書の品質特性「完全性」を満たす文書化技術の列挙
- 文書化技術を使う具体的な方法の検討
- グループ討議の結果の共有と意見交換
まず、サマーワークショップの報告と意見交換を実施しました。
次の写真は、ASDoQ運営委員からサマーワークショップの報告をしている様子です。
サマーワークショップの報告を通じて、参加者から様々な意見が出ました。
そして、完全性を満たす開発文書を書くために、「開発スキル」「ソフトウェア工学の知識」「文書スキル」の3つの軸を立ててみました(ホワイトボードの図)。
その上で、次のような意見がありました。
- 「完全性」を高めるためには、ソフトウェア工学の適用が必要ではないか。
- ソフトウェア工学は、知識として知っているだけではなく、使えなければならない。
- 例えば、状態遷移を知識として知っているだけではなく、対象を分析して何を状態としてくくり出すかというモデリングのスキルが必要となる。
- 開発の過程では、それらのスキルを発揮して、設計書などの開発文書として表現する。
- ASDoQの文書品質モデルでは、「規範適合性」は基本的な品質特性であり、「完全性」はソフトウェア工学のスキルを発揮した結果の品質特性ではないか。
- ASDoQの文書品質モデルは、性質が異なる品質特性で構成されているようだ。
まだ意見が出された段階で、まとめきれていません。
その後、完全性を満たす文書化の技術の列挙をワークにて行いました。
ワークでは、事前に運営側で用意した要求仕様のサンプルを検討の材料にしました。
以下はワークを行っている様子です(今回は3チームです)。
■チーム1
■チーム2
■チーム3
列挙した内容を各チームで発表していただきました。
■チーム1は、開発技術と文書技術をつなぐものを列挙しました。
■チーム2は、開発を意識した文書技術を列挙し分類して、その中から「レビュー」を取り上げました。
■チーム3では、サンプル仕様(三角形の判定方法)をもとに、完全性を満たすための方法を列挙しました。
発表後、列挙した技術の中から1つテーマを選び、その技術を使う具体的な方法を各チームで討議しました。
各チーム、様々な観点で完全性を満たすための技術を列挙し討議しました。
■チーム1では、要求仕様書のガイドラインを定義するための具体的な方法を検討しました。
■チーム2では、レビューで「記述漏れ」と「記述誤り」を見つけるための具体的な方法を考えました。
■チーム3では、開発文書の目次に着目し、目次に記載すべき内容、各章に記載する粒度や内容を検討しました。
これらのアウトプットをベースに、さらに、開発文書の完全性の議論を進めていきたいと考えます。文書品質モデルのブラッシュアップにもつながりそうです。