電子情報通信学会 知能ソフトウェア工学研究会(KBSE)にて,ASDoQ運営委員の山本修一郎が,「開発文書品質の研究課題についての考察」を発表しました.
KBSE開催プログラム
日時:2011年11月11日(金) 9:40 - 10:20
場所:信州大学工学部 地域共同研究センター
発表先:電子情報通信学会 知能ソフトウェア工学研究会(KBSE)
発表者:山本修一郎(ASDoQ運営委員)
共同発表者:栗田太郎(ASDoQ幹事)・山本佳和(ASDoQ運営委員)
システム開発を成功させるためには,開発文書の品質が重要です.これまでに,プログラムのソースコードについては品質メトリクスなど多くの既存研究があります.しかし,開発文書の品質については明確な定義や評価基準,ならびに,その活用,改善方法がまだ確立されていません.
このため,開発文書品質の研究課題を整理するとともに,ASDoQ研究会のロードマップ部会で進めている,開発文書品質研究のロードマップ策定に向けた取り組みを紹介しました.
[1] 山本修一郎,栗田太郎,山本佳和,開発文書品質の研究課題についての考察,電子情報通信学会,信学技報, vol. 111, no. 282, KBSE2011-45, pp. 55-60, 2011年11月.
(Q1) 開発文書には,自然言語,図式言語,形式言語があると整理されているが,図式などのモデルと開発文書の具体的な扱いについてはどのように考えていますか?
(A1) 自然言語と図式言語との相互関係の整理が追跡性の点でも課題であると認識しています.従って,この課題解決の必要性と解決時期などをロードマップ上に明示したいと思います.
(Q2)ソフトウェア要求仕様書について公開されている事例がほとんどないのが現状です.ASDoQ研究会 ではソフトウェア要求仕様書の事例の公開を考えていますか?
(A2)人材育成部会で開発文書のサンプル作成を考えているので,この部会に参加して いただければ,サンプルを入手できると思います.作成されたサンプルが公開されるかどうかは, 人材育成部会で判断されると思います.
(Q3)システム開発文書化技術については1980年代に多くの取組みがあったにもかかわらず,現代ではそれらの知識のいくつかが失われているため,それらを復興する必要があると 指摘されましたが,今回整理された知識が再び,失われる可能性はないのでしょうか?
(A3)もちろん,その可能性は否定できません.しかし,当時と現在の大きな違いの一つに,文書がデジタル化され,整理した技術をインターネット上でオープンに公開できることがあります. これまでは,知識が書籍として書庫に納められていたので,忙しい現場の技術者にとっては, その知識へ簡単に接近する方法がなかったと思います.今では,整理した知識をデジタル化してインターネット上で公開できるので,容易に閲覧できます.また,一度公開しておけば,そのサイトがなくならない限り, いつでもだれでも閲覧できます.
(山本修)