12:15 ~ 12:30 オープニングセッション
12:30 ~ 13:30 基調講演 | 開発文書とその品質をどう考えるか? ~開発文章改善,標準化,開発文書管理の視点から~ |
山本修一郎(ASDoQ,名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室)
昭和54年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻修了,同年日本電信電話公社入社,平成2年日本電信電話株式会社ソフトウェア研究所主幹研究員を経て,平成14年(株)NTTデータ技術開発本部副本部長,平成19年同社初代フェロー,システム科学研究所所長となり,平成21年より名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授. |
1968年にNATO科学委員会でシステム開発における実践的な技術体系の必要性が議論され,ソフトウェア工学が誕生しました.その後1970年代からのソフトウェア工学の具現化とともに,多様なシステム開発文書技術が発展して現代に至っています.しかしながら,システム開発現場では,依然として開発文書の品質が問題になっているという現実があります.たとえば,我々の調査によると,ステム開発文書を構成する文章とその改善,開発文書の標準化,開発文書管理についての課題があることがわかってきました.本講演では,開発文章改善,標準化,開発文書管理の観点から,これまでの開発文書技術を振り返りながら,現状の手法・技術・標準を体系的に紹介するとともに,開発文書品質の向上に向けて必要となる今後の取組みについて展望します.
13:40 ~ 14:40 招待講演1 「よい文書」とは何か―技術文書の論理と倫理
戸田山 和久(名古屋大学情報科学研究科)
専門:科学哲学および科学技術社会論、科学技術コミュニケーション |
よい文書とは何かを技術者倫理の文脈において考え直してみます。両者は一見無関係に思えますが、必ずしもそうとも言えないのではないでしょうか。技術者倫理は単に技術者の心持ちの問題や技術者へのお説教ではなく、技術が公衆の安全を確保し社会の福利を増進できるような様々なシステムを実装することまでを射程とすべきものだからです。そうすると、文書の品質向上はそうした技術者倫理を実装するシステムの一環だと考えることもできるでしょう。こうした視点から、よい文書とは何かをみなさんとともに考えたいと思います。
14:40 ~ 15:40 招待講演2 | 利用者主導情報システム開発における成果物の管理と運用 -- AIST包括フレームワークに基づく自治体情報システム開発 -- |
和泉 憲明((独)産業技術総合研究所)
(独)産業技術総合研究所 知能システム研究部門社会知能研究グループ・主任研究員 |
AIST包括フレームワークとは,大規模な情報システムの開発を開発者主導ではなく利用者主導で推進するために,産総研が策定したソフトウェア・仕様書・ノウハウの体系である.AIST包括フレームワークの特徴のひとつは,ユースケース駆動型の開発方法論の拡充として,概要定義からユースケース記述,フィーチャー設計への展開において,日本語文表記に関する規約やガイドなどを充実させていることである.今回は,横浜市役所や札幌市役所の業務改善・システム開発における開発文書のインスペクションを中心に,住民記録や税・国保・福祉などの自治体情報システム開発における分割発注やマルチベンダー化に関する取り組みを紹介する.さらに,システム開発文書の社会基盤として,概念定義と概念間関係に基づく構造化文書の可能性を議論する.
15:55 ~ 16:10 組織紹介1 ASDoQ ASDoQの1年3カ月
山本 雅基 (ASDoQ,名古屋大学)
1958年生まれ.1981年日本電装(現在のデンソー)入社.2004年名古屋大学. |
ASDoQは,2011年7月に設立しました.開発文書とその品質について自由に意見交換をできる場ができたことは,私たち会員の喜びです.現在,3つの作業部会が作られて,具体的な作業が精力的に行われています.本発表では,この1年3カ月の活動を振り返り,何が分かってきたのか,これから何をしなければならないのかについて,ご報告します.
阿部圭一氏配付資料
「情報伝達型の日本語文章・文書にたいするガイドラインの策定に向けて」(PDF)
「付録 情報伝達型の文章術に関する本が採り上げている事項の比較」(PDF)
16:10 ~ 16:30 組織紹介2 産業日本語研究会 産業日本語研究会の活動と規格化日本語
井佐原 均(豊橋技術科学大学)
京都大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了.博士(工学) |
企業等において,自社で作成した文書を多言語化あるいは情報抽出容易性といった観点から高度化することが求められている.翻訳での機械翻訳の活用や,文書が人間の読解だけでなく,情報検索の対象にもなりうると考えると,人間にとっても,計算機にとっても分かりやすい文章の作成が必要となる.このような観点から活動を始めた産業日本語研究会の活動について概観する.また,企業と協力して,日本語マニュアル作成を対象に進めている規格化日本語の活動についても述べる.
山本修一郎,戸田山 和久,和泉 憲明,山本 雅基,井佐原 均
17:55 ~ 18:00 クロージングセッション