2020年6月12日16時から18時に、2020年度総会報告と第23回研究会を開催しました。今年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応によりオンライン(Zoom)にて行いました。
最初に、総会報告を行いました。
2019年度の事業報告と決算報告、2020年度の事業計画と収支計画については、事前にWebでご投票を頂きました。その結果、総会の成立、2019年度報告、2020年度計画が承認されたことを報告しました。
2020年度の研究会活動は、ASDoQ大会を含めて全てオンラインで開催する予定です。初めての試みですので、ご協力くださいますようお願いします。
総会報告に続いて、第23回研究会を行いました。
今回は、「リーディングスキルから考える文書品質の向上策」をテーマに実施しました。
ASDoQはシステム開発文書品質を研究する会です。書く能力(ライティングスキル)と読む能力(リーディングスキル)では、主にライティングスキルに関心を持ってきました。しかし、新井紀子先生(国立情報学研究所 教授)が書かれた2冊の著書(「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」「AIに負けない子どもを育てる」いずれも東洋経済新報社 )では、リーディングスキルの低下が取り上げられていました。
そもそも、文書品質は読み手が決めると、ASDoQでは考えてきました。そこで、今回は、リーディングスキルについて、Zoomの投票機能やブレイクアウトルーム機能、チャット機能を使い、オンラインでの意見交換を行いました。
参加者の多くがテレワークをされており、そこで感じたことを共有しました。テレワークにより、情報共有が口頭やメールではなくチャットに移行している方がいらっしゃいました。短い単語のやりとりをしがちであるチャットは、素早く意見交換できるメリットがあります。しかし、理解せずに単語だけを追ういわゆるAI読みに陥りがちであることなどが指摘されました。以下に、交換された意見を列挙します。
■リーディングスキルが低いと感じたきっかけ
・チャット普及により気づかないうちにAI読みをしている
・長い文書を読むのが苦痛である
・図や表が無いと理解しづらい
・主語が無い文書を読みにくいと思う
・目的語を正しく理解できないと気づく
・二重否定を多用されると理解が難しい
新井先生らの一般社団法人「教育のための科学研究所」は、RST(リーディングスキルテスト)を開発して、読む能力の測定に取り組まれています。今回の研究会では、それに倣い、RSTを自作したり、その問題をレビューしたり、自作した問題を解いたりして、リーディングスキルに対する理解を深める試みをしました。良問を作ることは中々に難しく、レビューは大いに盛り上がりました。
■RSTの作問/レビュー/問題を解くワークでの意見
・読解力の気づきになり、社内教育として役に立ちそう
・テスト対策をされてしまい、意図した結果を得られない可能性があるので工夫が必要
・読み手が読み間違えない文章を記述するための力になりそう(図や表を活用させる等)
総会と研究会後の交流会も、今回初の試みとしてオンラインにて開催しました。各自お酒とおつまみを持参し、画面に向かって文書品質の未来について語り合いました。
テレワークの普及は、新しい文書品質の在り方を模索する日々の始まりを示唆しているのかもしれません。本年度もどうぞよろしくお願い致します。