2017年2月17日(金)に,フェリカネットワークス会議室にて,第14回研究会を開催しました.今回は,久々に東京での開催にて,予想を超える24名の皆さんにご参加いただきました.
はじめの事例発表&討議では,町田欣史様(NTTデータ)に「勉強会『わかりやすい日本語を書こう』の開催結果から見る文章作成のポイント」をご講演いただきました. 本講演では,ASDoQ大会2016にて事例発表として町田様が発表された内容をベースにして,より詳しくまた新たな情報も加えてお話しいただきました.
町田様は,「わかりやすい日本語を書こう」というテーマの勉強会を社内外で開催し,日本語の文章がわかりにくくなる45個の問題を8つのカテゴリで整理されました.その分類の結果と共に,具体例を交えてそれぞれの問題を解説いただきました.
さらに,それら45個の問題を勉強会出席者の回答によって「よくある問題」「今まで気づかなかった問題」「特に注意したい問題」に分類し,分かりやすい日本語の文章を書くためのポイントをご提示いただきました.本講演では、各問題をASDoQのシステム開発文書品質モデルの品質特性・副特性に対応づけした結果もご紹介いただきました.
参加者からは個々の問題の深掘りにつながる疑問や意見が出て,わかりやすい日本語の重要性や必要性をあらためて認識する機会となりました.
町田様発表の様子
次に活動紹介として,栗田太郎様(ソニー)に「読むことと聴くことは,書いたり話したりすることよりも難しい」をご講演いただきました.読む書く,聴く話すをそれぞれ対比させて特徴や求められることをご紹介いただきました.コミュニケーションや思考の原理,また原理に基づくノウハウをお話しいただきました.コミュニケーションの短い演習も行いました.参加者は,文書や会話による情報の受け手として,相手と自分の思考を分析するきっかけを得て,今後のコミュニケーションのヒントをいただきました.
栗田様発表の様子
今回の最後のプログラムでは、ASDoQの文書品質モデル活用WGから「文書品質特性の測定方法の検討」のワークと討議を行いました.
開発文書の文書品質測定の例として,ASDoQが現在公開している要求仕様書サンプルを使い,RISDM[1]による要求仕様書の評価法をヒントにしてグループワークを行いました.そして,ワークを基に,文書品質の測定方法を探りました.今回のワークでは,品質特性によって文書全体や章全体で見るべきものと個々の文単位で見るものの差があること,見なくてよい項目や部分の選別基準が必要となる,などの意見が出ました.これらは,今回のワークに限らず,モデルを活用した文書品質の測定で、同様の課題となるのではと思われます.モデル自体の改善も含め,より具体的な活用の検討を,WGおよび研究会として進めていきたいと思います.
<参考>
[1] 斎藤 他,RISDM:ソフトウェア要求仕様書のインスペクションデザイン方法論の提案と適用評価, SES2014論文集, Sep.2014, pp105-114
文書品質モデル活用WG活動の説明